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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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暗殺者アイザック02

 カルマは高ランクの冒険者となる実力をもっていた。

 少なくとも暗殺に身をやつす冒険者には見えなかった。

 それほど、剣の腕は確かだったのだ。

 だが、その瞳は濁っていた。

 普通、カルマほど腕がたつとパーティメンバーとしてひっぱりだこになるはずだった。

 しかし、みんなカルマを避けていた。

 カルマが参加する冒険では、なぜか多くの死者が出た。

 冒険に出かけたパーティは全滅してカルマだけが帰ってきたこともあった。

 カルマは死神と呼ばれるようになった。


 それで、ソロの仕事か暗殺を生業をするようになったのだ。

 カルマは暗殺には適していなかった。

 ただ、特に難しい仕事には彼の腕が必要だった。

 やはり、相手が強いときはそれなりの剣士が必要だったのだ。

 暗殺者には腕の立つ奴はあまりいない。

 腕がたてば表の仕事だけで十分だからだ。

 だから、カルマにはそういう仕事ばかりが割り振られた。

 そして、そこでバディを組むのが我々エリートだ。

 カルマが突破して、俺たちがターゲットを仕留める。

 そういう仕事では我々はいいコンビだった。


 そして、あの神官暗殺の仕事を我々が請け負ったのだ。

 結局、カルマは神官を殺すことに成功したのだ。

 だが、我々を雇った貴族の思った通りにはならなかった。

 そのあとのバーミリオンは神官の思った通りの世界となったのだ。

 結局、神官のほうが一枚上手だったのだ。


 そのあと、カルマは変わった。

 暗殺から足を洗いたいと言い出したのだ。

 カルマは困難な仕事をこなしていた。

 それだけに暗殺組織の秘密にかかわりすぎたのだ。

 俺たちエリート軍団の数人の顔や技を知ってるだけでも、組織としては困ったことなのだ。

 結局、組織はカルマを消せと俺たちに命じることとなったのだ。


 その役はいちばんコンビを組んだことが多かった俺に任せられた。

 最初は簡単な仕事だと思っていた。

 カルマの強さは俺も知っていた。

 それと同じくらい彼の甘さもわかっていた。

 俺はプロの暗殺者。暗殺はビジネスなのだ。

 俺はそう思ってた。

 

 カルマの強さはその自由さ。

 普通、達人といわれるものは型を持っている。

 俺たちでさえ、殺し方の型を持っている。

 しかし、カルマは型を持たない。

 風のように自由に戦うのだ。


 俺の最初の暗殺は失敗した。

 俺の刃はカルマの首を掻ききる手前で止められた。


「アイザック。

 あわてるな。俺はどうせすぐに死ぬ」

 カルマはそう言って笑うのだった。

 

 


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