烈火の魔女メアリー03
「おまえ、ばかか?
お前ごときがこの人数相手にかてるわけはないだろ。
冒険者の級は何だ。
Aか?Bか?Sってことはないよな」
「Eだったかな。
このところギルドには行っていない」
盗賊たちは笑う。
そう、ひとつ級がちがうだけでも雲泥の差なのだ。
冒険者の級にジャイアントキリングはあり得ないという。
それくらい厳密に決められているのだ。
「ほんとにバカだぜ。こいつ。
この状況みてわかんねえの?」
「わかっているよ。
お前らが下衆だってことはな。
一目瞭然だろ」
「兄貴たちが相手する必要もねえ。
俺があいてしてやんよ」
若い盗賊が剣を抜いて剣士に向かう。
たぶんE級ときいて勝てると踏んだんだろう。
それもヘラヘラと笑いを浮かべた舐め倒した顔をしている。
盗賊たち全員がそうだ。
「じゃあ、殺りあおう」
そう言ったとたん、さっきの若い盗賊の首が飛ぶ。
そう、若い盗賊は一歩も動けなかった。
その間に間合いに入って剣を一閃させたのだ。
そのスピードと威力に盗賊たちの笑みは消える。
「おまえ、今、何を」
盗賊がそう言い終わらないうちに、血を吐いて倒れる。
そう、その肥えた腹をカルマの剣が貫いている。
「本当にE級か」
そう言いかけた盗賊は袈裟斬りにされる。
「ああ、E級だ。
5年ほどギルドに行っていないがな」
そうこの頃のカルマはギルドに登録しているだけという状態だった。
バーミリオン王国で悪いことをして、王国から手配書が出ていると思ってたのでギルドに行けなかったらしい。
この後、大きな討伐での戦いでギルドに復活することになるんだけど、この時はまだ無名だったみたいだ。
カルマはとにかく強かった。
盗賊はいつの間にか3人となっていた。
すべてB級冒険者と言っている。
それなりの剣と装備を持っているので本当だろう。
でも、その剣は震えていて、とてもカルマに勝てるとは見えなかった。
素人のわたしから見ても、格が違うのがわかる程だった。