聖剣士カルマ04
なぜかこの二人が集まるとこういうことになる。
しかたなく俺が仲裁することとなる。
他にも、俺をみつけたらみんな挨拶をしていく。
神官を殺す前はこんなことはなかった。
一日中だれとも話さないこともあるくらいだった。
みんな俺と組むことを嫌がったし、だれも近寄るものはなかった。
今は誰もが俺をパーティに誘うのだ。
ただ、俺が引き受けるのは危険な仕事。
他の者を巻き込むわけにはいかない。
だから、俺は前と同じで誰ともつるまない様にしている。
俺はひとの命まで背負うことはできない。
あのアキヒロのバカのようにな。
だから、適当な死に場所を探して、野垂れ死ぬ。
そういうのが俺にはお似合いだ。
「お願いです。
助けてください」
「だから、依頼をするには報酬が必要なんです。
その程度の金で、その依頼は受けられません」
ギルドの職員に土下座をする親子。
その手には布袋、たぶん中味は小銭なんだろう。
「受けてもらえないと、村は終わりなんです」
「その依頼には一軍が必要です。
領主を通じて、共和国に話をしてください」
「領主はもう逃げました。
わたしたちにはいくところがないんです。
おねがいします」
また、くそ貴族か。
自分の領地から搾り取るだけで、領民を守ることもできない。
それが、この世界の貴族というやつだ。
「あなたたちも逃げたほうがいい。
あの盗賊団は300人はいると聞きます。
いずれ国が動くと思います」
「しかし、わたしたちにはいくところなんてありません。
老人も子供もいます。
逃げても食べることなんてできないのです。
わたしたちはいずれにせよのたれ時ぬしかないのです。
それならば、村に残ることを選びます」
そう、この世界の難民というのは、悲惨なものだ。
あの村人の決断もひとつの答えだろう。
殺されるか、餓死するかの2択だ。
「いずれにせよ。
ここではなにもできることはありません」
職員は村人の依頼をはねつける。
彼らは肩を落として、窓口から離れるのだった。