聖剣士カルマ03
俺はアキヒロを殺した後、闇の仕事を受けるのをやめた。
ただ、それは闇の掟に反するらしい。
闇の組織のことを知りすぎた俺に刺客が差し向けられることとなった。
その一人がアイザックだ。
組織の中でも、一二を争う実力者だ。
短剣使いで刺す斬る投げる変幻自在の戦い方をする。
ただ、殺気を感じたのは最初だけ。
今は本気で殺そうとしているとは思えない。
時々仕掛けてくるけど、簡単にはねのけられるし、失敗してもなぜか嬉しそうに笑うのだ。
この間のガーゴイル討伐でも、俺の次にガーゴイルを倒したのがこいつだ。
俺の背後を守ったりするのだ。
アイザックに聞いてみると、お前を殺すのは俺だ、他のやつに殺させないとのことだ。
こいつも意味のわからないことを言う。
「次の依頼もおれは付き合うぜ。
じゃあな」
「ねえ、カルマ。
ここ、空いてる?」
アイザックが離れると、俺の向かいに一人の美人が座る。
魔女メアリー。A級の冒険者だ。
魔女の称号は女魔導士としては最上級のものだ。
魔法にかけては人外の実力を持っているという証拠。
恐れと尊敬をこめてそう呼ばれるのだ。
こいつもなぜか俺に付きまとってくる。
この間のガーゴイル討伐でも、俺の後方支援をしてくれたのだ。
魔力が切れて倒れるまで戦ってくれたのだ。
もしメアリーがいなければ危なかったかもしれないというくらいだったのだ。
だから、すごく感謝はしている。
しかし、少し苦手感もある。
俺をからかっているのか、なぜか身体を寄せてくるのだ。
「カルマさん!だめです。
この女を近づけては!
もう、油断も隙もないんですから!」
腰に手をあててメアリーをにらみつける少女はシキブ。
吟遊詩人だ。
こいつも俺に付きまとう一人だ。
俺のサーガを歌わせてほしいとのことだが。
俺の生き方なんてそんなに立派なものじゃない。
「なに?このチビは。
いつもいつもじゃまするんだから。
わたしに恨みでもあるの」
メアリーは眉間にしわをよせる。
「わたしはカルマさんのマネージャーなんです。
悪い虫がつかないようにしているだけです」
シキブも負けずに言い返すのだった。