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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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聖剣士カルマ35

 ついにやつらが本気で動き出した。

 村の四方を囲むように兵を配置したのだ。

 城攻めは守勢が有利というが、もともとここは城でも砦でもない。

 ただの村。柵を強化しただけなのだ。

 フリードマンの攻めは前哨戦でもない。

 いきなりの本番と思ったほうがいい。

 フリードマンを退けたおかげで、彼らには油断もない。

 今から始まるのは戦ではない。

 ただの蹂躙だ。

 村を守るというよりも、何人生き残れるかのゲームとなるだろう。

 そんなことは村人にはいってないが…

 絶望が今の俺たちにとって一番怖いからだ。

 人間、希望のあるうちはなんとか頑張れるのだ。

 だから楽観的に行こう。

 

 さて、相手もすぐには来ないみたいだ。

 こっちのリフレクトを警戒しているのだろう。

 そのリフレクトも一方向を防ぐので手一杯だ。

 つまり、相手は四分の三の確率で当たりを引くということだ。

 弱い方向が分かれば、あとは攻めるだけ。

 相手にとっては簡単な戦いだ。

 ただ、この程度の戦いで犠牲は出せない。

 だから、慎重に攻めるのだろう。

 

 俺たちの勝利条件は革命軍の撤退となる。

 それには、全滅をさせるなんてことは現実的ではない。

 そうすると、総統を倒す。

 これしかないと思う。

 村人を仲間たちにまかせてアイザックと総統のところに斬り込む。

 村の全滅までに、総統を倒せばなんとかなるかもしれない。


 みんなには、アイザックとの作戦会議だといってある。

 少し時間がかかると。

 みんながわからないうちに窓から外に出る。

 総攻撃まで、まだ少なくとも数時間はある。

 この間に総統を殺す。

 昔、よくやった暗殺の仕事だ。

 もう、闇の仕事に手を染めることはないとおもっていたがな。

 こんな形で、皮肉なもんんだな。


「また、お前と仕事ができるとはな」

 アイザックが心なしか嬉しそうに笑う。


「ああ、まったくだ。

 そして、これが最後だ」


 二人はうなづきあう。

 もう、俺たちに言葉はいらない。

 おたがい相手がどう動いてくれるかはわかっているのだ。

 さあ、死にに行こう。

 そのとき、何かが俺の服を引っ張る。


「おなかすいたにゃん」

 それは緊張感ゼロに寝ぐせのついた灰色耳の幼女だった。



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