聖剣士カルマ34
なんとか、みんなを納得させることができた。
ミーニャが猫ニャンだということをゆっくりと説明したのだ。
最後にミーニャに灰色毛玉に戻ってもらって、やっと誤解がとれたのだった。
朝食のあとは、猫ニャンは丸まって寝てしまう。
いちおう、俺のいうことは分ってくれたみたいだ。
しかし、いずれにせよ、この戦いで生き残るのは難しいだろう。
願わくは、仲間だけでも守ってくれたらうれしいのだけど。
そこまで願うのは虫がよすぎるだろう。
もともと、そんな他力本願は俺の流儀ではない。
そろそろ、奴らも動き出すだろう。
このまま、他にいってくれるなんてことは考えられない。
人間というのはプライドの生き物だ。
本当なら、厄介なところは放っておいたほうがよいのだが。
やつらに必要なのは食料や物資だ。
できるだけたやすく手に入れたほうが効率的なのだ。
だが、小さな村ひとつ制圧できなかったっていうのは、彼らにとって大きな汚点。
そんな噂が流れたら致命的なのだ。
もし、本当に大国相手に戦おうと思った場合は甘くみられたほうが得。
強者と戦うときは、舐めてもらったほうがいい。
しかし、革命団は弱いものから略奪する集団。
必要以上に自分たちを大きくみせたほうがいいのだ。
たしかに圧倒的な暴力を持っている。
ただ、相手が必至に抵抗してくると無傷ではすまない。
ある程度の損害は覚悟しないとならないのだ。
できるだけ、楽に略奪をするには、舐められてはならないのだ。
元の世界の暗黒組織も同様。
こっちみたいに能力なんてない分、必至で体面を保っていた。
個々に飛ばされれる前の俺たちもそうだった。
大きな組織の後ろ盾を得て、喧嘩をしていた。
だから、このままで済まないのはわかる。
次は総攻撃だ。
圧倒的な力で潰す。それしかない。
そして、残虐な方法で蹂躙する。
革命団に逆らったものはどうなるのか見せてやるというわけだ。
簡単には殺さないだろう。
できれば、生かして捕えようとしてくる。
そこに一縷の希望がある。
アイザックが部屋に入ってくる。
「来たか」
俺がアイザックを見ると、彼は静かにうなずく。
「総攻撃だな」
「ああ」
俺たちはにやりと笑う。
頼もしいやつだよ。
死ぬことを少しも恐れていない。
さあ、最後の戦争だ。俺の死にざまをみせてやろう。
俺は、そう決意し、鎧をつけ剣を手にとるのだった。