聖剣士カルマ32
猫ニャンは、この村に居つくこととなった。
なんか、俺を殺すって話はなくなったみたいだ。
忘れているのか、許してくれたのかわからない。
それから、味方として頼っていいのかもわからない。
とりあえず、食べて、遊んで、寝るだけだ。
夜になってさあ、寝ようと思った瞬間、ドアの所でガタンと言う音。
それからドアが細く開いて、灰色の毛玉が入ってくる。
あの猫ニャンだ。
しかし、猫ってドアを締めててもあんま意味ないというか。
どうにかしてドアを開けようとする。
特にこの猫ニャンは鍵がかかっていても関係ないのだろう。
さっきのガタンという音はドアノブに飛びついた音だろう。
部屋に入ってくると、しばらくうろつく。
適当に顔をこすりつけて縄張りを作る。
それから、気になるところの匂いを嗅ぐ。
ここを拠点としようとしているのか。
もしかして、俺を監視しようとしているのか。
猫ニャンの考えることはわからない。
そういえばメインクーンのメロディもこんなことをしていたような気がする。
猫特有の行動パターンなんだろう。
適当に部屋の冒険をしたら、ジャンプしてベットに乗る。
身軽な歩き方で、俺の膝に乗る。
そのまま、俺を見上げてナーと鳴く。
俺は猫ニャンの頭に手を乗せる。
猫ニャンは撫でろというように俺の手に頭をこすりつける。
柔らかい毛の感触。
このミーニャは短毛種だが、なぜかメロディを撫でていた感触を思い出す。
猫は自分で撫でてほしいところを教えてくれる。
器用に身体を動かして俺の手が撫でてほしいところに当たるようにする。
俺はその部分を撫でたらいい。
それから、メロディは尻尾の付け根を叩かれるのが好きだったな。
俺はもう一方の手で尻尾の付け根をとんとんと叩く。
猫ニャンは嬉しそうに目を細める。
それからニャーニャーと小さな声で鳴く。
「俺を許してくれるのか?」
俺は猫ニャンに問いかける。
でも、返事はない。
寝てしまったみたいだ。
そうだな、こいつは猫なんだ。
その考えは俺ごときに理解できるものではない。
俺は、ミーニャを抱いたまま、布団に入って眠りにつく。
今日もまたメロディの夢を見るのだった。
子供に戻ったぼくはメロディと夢の中でたくさん遊ぶのだった。