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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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聖剣士カルマ31

「なあ、猫ニャン。

 この村は今、黒蠍革命団っていうのに狙われているんだ」

 言葉も治ったようだ。

 そして、村長の家を貸してもらって、猫ニャンを説得している。


「ラーニャだにゃん」


「それでは、ラーニャ。

 俺はこの村を救いたいんだ。

 革命とか言ってるが、やつらは山賊団にすぎないんだ。

 本当に世界を良くしたいのだったら、この村を襲う必要なんてないだろう。

 だから、この通りだ。

 革命団を退けるまで待ってくれないか」

 俺はテーブルに頭をつける。


 ラーニャは何も言わずに机の上の焼き菓子を食べている。

 この村に伝わるお菓子みたいで、なかなか美味い。

 村長の奥さんが焼いてくれたのだが、猫に何を出したらいいかわからなかったので、とりあえず出してもらったのだ。

 本当は魚とか肉がよかったのだろうか。

 ラーニャは黙々と食べている。

 そろそろ、なくなりそうで、俺の目の前のにもチラチラと視線を送る。


「それに、この戦は分の悪い戦いだ。

 勝てる可能性は皆無とはいわないが、かなり低いと思って間違いない。

 おまえが、俺を殺さなくても、革命団が俺を殺してくれるかもしれない」


 ラーニャは自分のケーキを食べ終えて、ぺろぺろと皿を舐める。

 気に入ったみたいだ。

 甘さ控え目なので子供向きではないと思っていたが、大丈夫だった。

 俺は自分の前のお菓子をラーニャのほうに押しやる。


 ラーニャは、2つ目のお菓子にとりかかる。

 もう、フォークを使うのもどかしいのか、猫食いになっている。

 おいしいのを表すように三角の耳がピクピクと動く。


「それでも、生き延びたら。

 この町を救えたら、思い残すことはない。

 その時には、この首、おまえにくれてやる」


 ラーニャは、目を閉じて、ケーキを味わう。

 幸せそうな顔をしている。

 

「だから、俺にすこし時間をくれ。

 別に逃げたり隠れたりはしない。

 なあ、俺の命、もう少し預けてくれないか」

 俺は猫ニャンを見る。

 そう、たぶん、おとなしくしているところから、待ってくれると思う。

 説得成功だろうか。


 猫ニャンは静かに目を開ける。

 そしておもむろに口を開く。

 大丈夫だろう。


「おかわりにゃん」

 ミーニャは俺をみて言う。

 たぶん、こいつは俺の言ったことを全然聞いていないのだった。



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