聖剣士カルマ02
「なにをおっしゃいます。
知ってまっせ。
この間のガーゴイルの討伐のこと」
この間のガーゴイル討伐は街道で旅人がガーゴイルに襲われる事件が多発していることから市民からの不満が起き、困った貴族が冒険者ギルドに丸投げしたというものであった。
その報酬も微々たるもので、危険に見合うものではなかったl。
ガーゴイルはドラゴンほどではないが、厄介な魔獣だった。
一匹だけなら、A級冒険者がソロで戦えるといったところだろうか。
ただ、ガーゴイルは群れる。
その上、少し知性みたいなものがある。
闇雲に戦うのではなく、連携するのだ。
つまり、役割を決めて狩りをする。
そうなると貴族程度の私設親衛隊では相手にならない。
コストパフォーマンスの悪さと難易度の高さから、敬遠される依頼だった。
ギルドも報酬をあげるよう貴族に働きかけていたが、少しあげるのが精いっぱいだった。
街道のことなので、無理なら国に頼んでくれということだった。
ギルドとしての沽券にかかわるので、ギルドが賞金を増やそうかとしていたとのことだ。
ギルドから俺に相談があったのだが、特に興味を持てなかった。
しかし、町に大規模商隊が全滅させられたという情報が届けられ、商隊が出せずに町の物資が不足する事態となったとき、俺は腰をあげることとなった。
金はどうでもよいが、貴族にガーゴイルを倒したあとの素材はこちらの取り分と約束させた。
最初はソロで行くつもりだったが、行くときには20人の冒険者が集まった。
悪い依頼の代表みたいなものなのによ。
本当はプロの冒険者は受けてはいけない仕事なのだ。
バカなやつらだ。
計算もできないのだ。
なんで、この依頼を受けたって聞いてみると、カルマがいるからだよって。
笑えない冗談を言う。
結局、困難な依頼となった。
リーダーはガーゴイルロードというガーゴイルの上位種だったからだ。
俺がガーゴイルロードをなんとかしとめたのだが、3人の冒険者が命を落とし、5人が冒険者廃業の傷を負った。
ただ、しとめたガーゴイルは15匹となり、その素材が高値で売れたため、そこそこの金にはなった。
そのことを言ってるのだろう。
ただ、俺の取り分はすべてなくなった冒険者の遺族と負傷した冒険者に与えた。
だから、そんなに実入りがなかったのだが、何かゆがめられて伝わったのだろう。
「また、ええ話あったら教えておくなはれ」
生臭坊主は、俺から離れていく。
「よお、大将、元気か」
その代わりに小柄なターバンの男が話しかけてくる。
アイザック、暗殺者だ。
こいつも俺にまとわりついてくる。
アイザックは闇の組織に俺の暗殺を命じられて、俺を殺しにきた男だ。
最初、何度も俺を殺そうとしたが、すべてが失敗に終わった。
そして、今も俺の隙を狙っているということだ。