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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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聖剣士カルマ28

「革命軍か」

「もう、新手が来たのか」

 村人たちがざわつく。


 いや、あれは間違いない。あの時の猫にゃんだ。

 あの灰色の耳、見間違えるわけはない。


 俺はこの猫にゃんにアキヒロというおっさんと一緒にこの世界に飛ばされた。

 俺はあの時、弱い者いじめしかできないクソ野郎だった。

 そして、仲間2人はこの世界に来てすぐに殺されてしまった。

 俺は、猫ニャンとおっさんを恨んでこの世界を生き延びた。

 たぶん、それがなければ、生きてこれなかっただろう。

 俺はいつかアキヒロを殺そうと文字どおり泥水をすすっても生き延びたのだ。

 俺は一端の暗殺者となっていた。

 金で汚い仕事を請け負いながら、アキヒロに復讐する機会を探っていた。

 その俺に比べアキヒロはどんどん大きくなっていった。

 ミーニャ教という宗教を作り、バーミリオンという国を裏で操るようになった。

 どんどん、俺の手から遠いところに行ってしまうのだった。


 表での人気に比べ、アキヒロの裏での噂はいいものではなかった。

 ロリコンで孤児を集めては慰み者にしているとか。

 かなりあくどいことをして蓄財をしているとか。

 ミーニャ教では人々を洗脳しているとか。


 奴隷制の廃止、貴族の特権の廃止、教育制度・医療制度の改革。

 アキヒロが作った法律、それは旧勢力にとっては面白いものではなかったのだ。

 それに誰もミーニャ教の武力に対抗できるものはいないのだった。


 俺はアキヒロがあくどいことのできる奴だとは思えなかった。

 あいつはバカがつくほどお人よしなのだ。

 だから、貴族たちの言ってるのはデマだろう。

 しかし、そんなことはどうでもいい。

 俺が落ちぶれているのはすべてやつと猫ニャンのせいなのだから。


 そんな俺にアキヒロの暗殺の依頼が舞い込んだ。

 お膳だてはすべてバーミリオンの王侯貴族がしてくれた。

 俺は殺すだけだった。


 予定通り俺はアキヒロの前に立つことができた。

 しかし、アキヒロの力はとんでもないものになっていた。

 おれがやさぐれている間も、自分を鍛え続けたのだろう。

 俺は対峙したとたんにこいつには勝てないとわかった。


 しかし、あの頃の俺は差し違える覚悟でアキヒロを刺した。

 なぜか彼を指しながら、泣いていたのは俺の方だった。


 アキヒロは殺されるのを予測していたのだ。

 たぶん、それが奴の能力なのだろう。

 どの程度かわからないが未来予測ができたのだろう。


 俺にはそこまでしかできなかった。

 そして、くそ貴族たちがアキヒロの首を切り落としたのだった。


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