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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第一話 聖剣士カルマと6人の仲間たち
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聖剣士カルマ25

 俺が振り返った途端、フリードマンの身体から鮮血が噴き出す。

 そのまま、敵は倒れる。

 俺の手には人を斬った手ごたえ。

 フリードマンの能力は発現しなかった。

 あくまで、普通に斬られたのだった。


 これが、俺の能力。

 「猫の手を借りる」だ。

 

 眠気が俺の身体を襲う。

 これは、この力を使った時の副作用だ。


 猫人間になって、でたらめなほどの力を得る。

 その能力でなんでも斬ることができる。

 その攻撃は一切防ぐことはできない。

 ただ、強力ゆえに生身の身体では1分間が限界。

 そのあとは強力な眠気に襲われるのだ。


 その使い勝手の悪さゆえに意味のない能力だった。


「カルマさん」

 ケントが俺のところに走ってくる。

 俺はひざをつく。

 鉛のように重い身体。

 そして、身体から力が抜けていく。

 もちろん、頭の上の耳も小さくなっていく。

 身体も普通に戻っていく。

 

 覚醒した世界が色あせていく。

 そう、人間は普段脳の一部だけしか使っていないという。

 そのすべてを使ったら世界はこんな風に見えるだろうという世界。

 それが普段のぼやけた世界に変わっていく。


「大丈夫ですか?」

 ケントが俺を支える。

「それにしてもすごい剣でした。

 残念ながら、ぼくには相手を斬った瞬間が見えませんでした」


 俺には世界はスローモーションになっていた。

 自分の細胞ひとつひとつの動きがわかるみたいな感じだ。

 その静止した世界でうごいてるのは俺だけだった。


 そして時間が切れると世界は動き出す。

 これが猫の手を借りるだ。


 その情報処理に追いつかないのか、脳が疲労してしまう。

 それが、この眠気の正体なんだろう。


 とにかく敵は倒した。

 

「大丈夫、にゃん」

 そう、この力のもうひとつの副作用。

 それは、1日の間、語尾がにゃんになることだった。

 本当に訳の分からない能力だ。

 そして、俺は気を失うように深い眠りに落ちていくのだった。

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