聖剣士カルマ23
まるでゴムだな。
それもすごく硬いゴム。
元の世界でもなかったような素材。
鉄のように刃物を通さず、反発力を持つ。
素材としてはありえないものだ。
しかし、能力としてはありうる。
いままで、高質化だけを武器とするやつはいた。
ただ、皮膚を高質化したら動きが鈍くなる。
そして、外側を固くしても内側までは手が届かない。
外側にダメージを与えることで内部にダメージを与えることができたのだ。
反発力を武器とするやつもいた。
ゴム人間というやつだ。
動きが読みにくいが刃物や魔法に弱い。
こいつはその二つを併せ持っている。
タイヤのゴムのような硬質ゴムだ。
たぶん、魔法も通じないのだろう。
炎も氷も雷も土もだ。
こいつの攻撃を見たらわかる。
全然、防御を考えていない。
それは、自分の防御力に絶対の自信をもっているからだ。
俺はさまざまな角度から攻撃をする。
アキレスのかかとがあるかもしれないからな。
首、手、足、すべて攻撃が効かない。
こいつが8人の幹部のうちの真ん中くらいか。
やっかいだな。
こいつの相手は俺にしかできない。
ということは、俺が4人と首領を倒さないとならないということだ。
俺には奥の手がある。
あんまり使いたくないんだがな。
あくまで、剣技で戦いたかった。
しかし、このままじゃ、俺の攻撃は通らない。
その上、だんだん動きも鈍くなってしまう。
それに比べ、相手の攻撃は激しくなる一方だ。
おれは一度、フリードマンから離れる。
「おまえの攻撃は俺には通じないことがわかったみたいだな。
カルマだったかな。
たしかに、剣技としてはなかなかのものだ。
しかし、相手が悪かったな。
俺は剣士殺しと言われているのだ。
速い剣、剛健、鋭い剣。
どんな剣も俺には効かないんだ。
お前には俺は斬れないんだよ」
フリードマンは、勝ち誇ったように笑うのだった。