聖剣士カルマ21
相手は低い攻撃を跳んでかわす。
その上、上段から斬りかかってくる。
たぶん、そう来るだろうと思っていた。
空中からの攻撃、どうしても手先の攻撃となる。
よけるのは簡単だ。
そして、こっちは地を踏みしめている。
相手の剣撃を避ける。
それだけで、相手は空中で隙だらけの体勢となる。
剣で斬り上げる。
今度は片足を狙う。
とにかく戦闘力をなくす。
あとにフリードマンが控えているのだ。
最小限の力で2人を倒す。
右足を切り落とされて転がる男。
その後ろから歩いてくるフリードマン。
側近がやられたのに眉ひとつ動かさない。
彼にとって部下など使い捨ての道具にすぎないのだろう。
俺はフリードマンの冷酷さを理解する。
今の俺の剣を見ても、相手はひるまない。
たぶん、何か必勝の手があるのだろう。
「さあ、殺りあおうぜ」
なんか笑いがこみあげてくる。
そして、身体の中に熱いものが充満していく。
背筋がゾクゾクする。
そう、殺し合いにはいるとき、最近こうなる。
目の前のデブの顔が笑っている。
俺と同じか。
命のやりとりに脳内麻薬が分泌される。
一種のサイコパス。
やつの得物は斧。
圧倒的に間合いが短い。
いや、まだ腰に2本の斧を差している。
投げるなんていうもありか。
まあ、どちらにせよ戦ってみなければわからない。
猫剣術、型がないのが型なのだ。
おれは刀を構えて、すり足で攻撃のタイミングを計る。
近づきながら相手の隙を見る。
・・・・・・
スキだらけじゃねえか。
行くしかねえな。
罠かもしれない?
いや、そうかもしれないがなるようになる。
考えるのは苦手だ。
俺は剣を構えて走り込むのだった。