聖剣士カルマ15
シキブの傘は元の世界の傘とは違って、昔の蛇の目傘に近いイメージだ。
ただ、射かけられた魔法や弓をこれで防ごうというのではない。
これが、シキブの武器なのだ。
シキブはこれで攻撃や防御をする。
それから、空に舞いあがることができる。
どういう仕組みになっているかわからないが、とにかくスーパーな武器だ。
彼女はただの歌うたいではない。
一種の戦場ジャーナリストなのだ。
英雄のサーガを手に入れるために、世界を旅する。
それも危険な地域中心にだ。
批判的な歌を歌うことにより、権力者から命を狙われたりする。
それが、この世界の吟遊詩人だ。
下手な傭兵よりも戦えるのだ。
その中でもシキブは腕利きだ。
こいつと出会ったのは、討伐クエストの時。
ある村から受けた盗賊退治の時だった。
あれも困難な依頼だった。
依頼を受ける俺に彼女は話しかけた。
「あなたが、この依頼を受けるんですか?」
「ああ」
「でも、相手は20人はいますよ。
それに首領はスキル持ちです」
「関係ない」
「これに勝ったところで、名声もお金も手に入りません。
それどころか、わたしが調べたところでは盗賊団と貴族はグルです。
この町に居られなくなりますよ」
「関係ない。
困ってるやつらがいるんだ。
それだけで十分だろう」
「そうですか。
わかりました。
わたしもこの町の貴族には腹を立ててたんです。
あなたの戦いを見届けます。
そして、町のみんなに広めましょう」
シキブは俺についてくることとなった。
そして、20人の盗賊団にひとりで挑むこととなった。
雑魚は大したことはなかったが、そこそこの剣士が2人と首領は剣に風の魔法をまとわせるスキルを持っていた。
かまいたちのように空気で人を斬るのだ。
俺は間合いがつかめずに苦労をした。
その時、俺の前にシキブが現れたのだ。