御子神蒼生23
「初瀬さん。
ぼくは考えてることがあるんだ。
聞いてくれるかな」
「はい」
初瀬さんは頬を染める。
なんでかわかんないけど。
初瀬さんとはよく食事をするようになっていた。
って言っても高級な店ではなくて、居酒屋とかチェーン店みたいなところ。
こういうところの方が、ぼくに合っている気がする。
味もおいしいしぼくに合っている。
初瀬さんも、こっちのほうが気を使わないって言う。
たぶん、気を使ってくれているんだろう。
「あの、笑わないでくださいね」
「はい。覚悟は出来てます。
もう答えは決めています」
初瀬さんはテーブルに身を乗り出す。
覚悟????答え????
「ぼくは、もっと猫を救いたいと思うんです」
ガタン、初瀬さんはテーブルに突っ伏す。
えっ、どうしたの?
「はい、そういう話ですか。
続けてください」
そう言って顔をあげる。
なんか残念そうな表情。ま、いいか。
ぼくは新しい猫カフェを作る話をする。
それも100匹くらい収容できるものだ。
もちろん、それだけの店だから郊外に作ることとなる。
親の遺産があること、そして残りの人生で猫を救いたいこと。
限りはある、でも猫のためにぼくにできることはやりたいなって思う。
「いいと思いますよ。
わたしのスィーツと御子神さんのコーヒーがあれば、繁盛まちがいなしです」
「じゃあ」
「手伝います」
「あんまりお給料は出せないけど」
「大丈夫ですよ。
その代わり条件があります」
「はい、できることでしたら」
「わたしと付き合ってください」
初瀬さんはそう言って顔を真っ赤にするのだった。