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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第二話 御子神蒼生の話
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御子神蒼生22

 電話による問い合わせはお断りしている。

 

「うちの猫ちゃんを引き取っていただきたいのですが。

 すごくかわいい子なんですけど、どうしても手放さなくてはならなくなって。

 テレビで見たんですけど御宅なら猫ちゃんを幸せにしていただけると思って」

 涙声で電話してくる飼い主。


「うちは、保健所の保護猫しか引き取っていません」


「でも、猫ちゃんのための団体でしょ。

 御宅が引き取らないとしたら、どうすればいいんですか」


「引き取ってもらえる人を探してください」


「できる限り声は掛けました」


「では、保健所に電話してください」


「そこに行くと引き取ってもらえるんですか」


「いえ、殺処分になるかもしれません」


「あなたは猫が死んでもいいんですか」

 もちろん平気ではない。

 でも、ここも50匹の猫がいてもう限界だ。

 これ以上引き取ることはできないのだ。


「悲しいことだと思います」


「あなたは、鬼です。悪魔です。

 猫の保護団体にいるべき人ではないです。

 なんて名前ですか。

 保健所に訴えます」

 そして、こういう輩は逆切れする。

 そう、自分の罪を認めたくないんだ。


「御子神です。

 どうぞご勝手に。

 でも、その猫が不幸になるのはあなたのせいです。

 最後まで責任を持ってください」

 そう言い終わらないうちに、電話が切られる。

 

「御子神くん、ごめんね。

 いつもそういう電話を任せちゃって」


「いいんですよ。

 こういうの慣れてますから」

 そう、ぼくは率先してこういう電話の対応をしていた。

 このNPOにいる人たちには、優しすぎてこういうのに向かなんだ。

 ぼくは、ここ数年でいろいろな経験をしてきた。

 その中でわかったことがある。

 ハナさえいれば、何も怖いものなんてないんだ。


 でも、もっと猫を救うことができたら…

 ぼくはそう考え始めていた。

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