聖剣士カルマ10
俺たちは、村に着く。
村人は遠巻きに俺たちを迎える。
かなり警戒している様子だ。
「すみません。いろいろ事情がありまして。
まず、村長のところに行きましょう。
きちんとお話します」
マルテは俺に頭を下げる。
まあ、わからないでもない。
普通、この報酬では引き受けるやつはいない。
それを引き受けるということは、黒蠍と同類かもしれないと思うのも無理はない。
狼を招き入れてしまったかもしれないのだ。
その後ろについているのは、どう見ても胡散臭いやつらばっかりだ。
「わかった。
案内してもらおう」
俺はマルテとフェビルの案内で、村の中央に向かう。
それを武器を持って警戒する村人たち。
なかなかの面構えだ。
それにこれだけ戦える人数がいるのは心強い。
俺たちは村長の家に入る。
お金のある村人はもう村を離れたというが、村長は逃げなかったということだ。
この危機に際して、村長中心にまとまりはありそうだ。
「遠いところお越しいただいてありがとうございます」
屋敷の外で迎えてくれる小柄な老人。
柔和な笑顔だが目は笑っていない。
いい面構えだ。
ただの善人では、この危機は乗り越えられない。
「いえ、この村の危機に全力で立ち向かわせてもらう」
「しかし、何もない村ですので、報酬のほうは」
「その点は大丈夫だ。
黒蠍を倒せば、その装備や財産、賞金も莫大なものになる。
それは俺たちの取り分でいいんだよな」
「かたじけない。
よろしくお願いします」
老人は俺の目をじっと見て言う。
俺たちに賭けることを決めたみたいだ。
即決できるのはいい。
ここで迷うようであれば、仕事はもっと難しくなるところだった。
「承知した。
ただ、相手は1000人を超えるという。
俺たちだけでは戦えない」
俺は村長たちに今回の作戦について語りはじめるのだった。