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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第二話 御子神蒼生の話
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御子神蒼生18

「辛かったですね。

 でも、すごいです。

 そこから立ち直れるのって」


「それはハナのおかげです。

 だから、猫のために何かをしたいのです」


「今度、ハナちゃんを見に行っていいですか」


「ええ、狭くてきたないところですよ」


「はい、大丈夫です」

 そう言って笑いあう。

 初瀬さんは明るい人で、誰とでも親しく接している。

 これも社交辞令だろうな。

 こういう人ってうらやましいな。

 でも、ぼくも以前よりは強くなれたような気がする。


 それから、保護猫ボランティアでは初瀬さんとよく話をするようになった。

 彼女は今は会社員をしているけど、パティシエをやっていたこともあるらしい。

 保護猫カフェのスィーツは彼女が手がけていて、お客さんにもすごく評判がいい。

 ぼくもコーヒーの入れかたを教えてもらった。

 これも入れ方によって味が相当かわる。

 ぼくは本を読んで、コーヒーのことをいろいろ勉強することになった。

 そのうち、ぼくのコーヒーはおいしいってみんなに言われることになった。

 まあ、社交辞令なんだろうけど、それでも必要とされているみたいで嬉しい。


 ボランティアの経営する猫カフェはすごく繁盛することとなった。

 本来、お客さまは猫に会いにくるんだけど、本格的なコーヒーとスィーツを出すことで、リピーターが多くなった。

 他の保護猫カフェはそういうところをおざなりにしているところが多いらしい。

 でも、コーヒーのほうが素人仕事なんだけどね。


 くちこみでお客様も増えて、譲渡会とかもうまくいくようになった。

 奥さんもすごく感謝してくれている。

 仕事でも、すごく目をかけてくれるようになった。

 それで、より一生懸命仕事するようになって、いろいろな仕事を任されるようになった。

 なんか、すごく忙しくなったんだけど、すごく充実している。

 こんな心地よさはいままで味わったことのないものだった。

 これも、ハナのおかげだな。

 

 それから、ぼくは初瀬さんを食事に誘ってみることにした。

 って簡単にいうけど、すごく勇気が要った。

 嫌われないかなとかすごく考えてしまって。

 でも彼女はすぐにOKをしてくれた。

 拍子抜けするくらいあっさりとだ。

 これも、ハナのおかげだろうな。

 以前のぼくにこんな勇気はなかったんだからね。


 いい返事をもらったんだけど、その後が大変だった。

 だって、ぼくはおしゃれな店なんて行ったことがないんだから。

 イタリア料理なんて、〇イゼリアくらいしか行ったことがない。

 ぼくは慣れないスマホを駆使して星の数が多いイタリア料理店の予約をするのだった。



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