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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第二話 御子神蒼生の話
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御子神蒼生17

「御子神さん、今日も来てくれたんですね」

 初瀬さんが話かけてくる。

 30歳前半のかわいい感じの女の人だ。

 たぶん、独身だったと思う。

 最近、ここでよく会う。

 だから少し話をするようになった。


「ええ、家にいてもやることがありませんから」


「わたしもです。

 ここに来て猫ちゃんたちに会えるのが、唯一の癒しなんです。

 わたしのマンションは猫が飼えないんです」


「そうなんですか」


「御子神さんは猫を飼っておられるんですね」

 そういえば前にハナのことを初瀬さんに話したような気がする。


「ええ、八割れの子猫でハナっていいます」


「よかったら見せてください。写真」

 

 ぼくは、スマホからハナの写真を見せる。


「かわいい~。

 それにすごく頭がよさそうです」


「ええ、本当に頭のいい子なんです」


「でも、この子がいるのにここに来てるんですか。

 帰った時に怒ったりしないですか?

 この浮気ものって」


「はい、すこし匂いを嗅いだりしていますが、すぐに甘えてきます。

 それにぼくは猫に救われたんです。

 だから、少しでも恩返ししたいんです」


「そうですか?

 もしよかったら、そのお話聞かせてくれませんか?」


「はい、でもあんまり楽しい話じゃないですよ」


「聞きたいです。

 教えてください」

 

 初瀬さんに乗せられて、自分のことを話はじめる。

 もちろん、異世界の話はダメだ。

 信じてもらえないし、自分の中では黒歴史になっている。

 思い出しても、叫びだしたくなるほどのトラウマだ。

 ぼくは、猫のお世話をしながら、ホームレスであったこととかを話す。

 初瀬さんは、ぼくの話を真剣に聞いてくれる。

 そして、初瀬さんはぼくの話に涙さえ流してくれるのだった。

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