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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第二話 御子神蒼生の話
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御子神蒼生16

 ぼくは数日後に野田さんの事務所をたずねることとなった。

 もしかして詐欺かもしれないという可能性もあったけど、放っておくことはできない。

 やばそうなら逃げればいい。

 それに野田さんはぼくの部屋でハナの頭を撫でていたし。

 なんか悪い人じゃないという気がした。

 ハナもおとなしく頭を撫でられていた。

 たぶん猫は邪悪な気配を察知することができる。

 ハナが撫でさせる人は信用していいという気がした。


 結局ぼくには30億円くらいの財産があることがわかった。

 ぼくはすぐに仮想通貨を売却することにした。

 株式と違って総合課税となるため、売却益の半分くらいを税金でとられることとなったけど、20億近いお金が転がり込むこととなった。

 その運用先は配当のいい株式や猫の餌や薬を作っている会社の株を買い付けることとした。

 それと雑誌を読んで考えた世界株と米国株のインデックスに投資した。

 いままでみたいに情報だけを信じたんじゃない。

 自分で本を何冊か買って勉強をした。

 それで、ぼくなりに結論を出したんだ。

 それが間違っていてもかまわない。

 どん底まで落ちたことからわかったことがある。

 人生なんとかなるんだってこと。

 ぼくは強くなれたのかな。


 大金が手に入ったけど、ぼくには必要なものはあまりなかった。

 少し新しい服とか鞄とかを買ったのと、新しいスマホとPC。

 その程度で買うものはなくなった。

 もうゲームとかにも興味はなくなったし。

 とにかく、慌てて使う必要もない。


 ぼくはいままでと変わらない生活をする。

 仕事もすこし慣れてきたし、すごく生きているのが楽になる。

 試用期間がおわったから、給料も普通になったし。

 そのかわり、半年以内に寮はでていかないとならない。

 そのうち家もさがさないとね。

 ハナがいるから少し広いほうがいいかな。

 それも急ぐことはない。


 最近、社長の奥さんに誘われてはじめたことがある。

 それは、保護猫のボランティア活動だ。

 奥さんはそういうNPOの代表をしていたのだ。

 休日は保護猫カフェや譲渡会の手伝いをすることになったのだ。

 それは強制されたものではない。

 奥さんと社長がその話をしているのを聞いて、一度見学させてくださいって自分から言ったのだ。

 それは今の自分じゃいけないっていうのもあるけど、それだけじゃない。

 ぼくは猫にいろいろ助けられて今があるんだ。

 だから、猫に恩返しがしたかったんだ。

 ひとりよがりかもしれない。

 人間のエゴかもしれない。

 でも、先代ハナや今のハナのように掌の上で震える子猫を増やしたくないんだ。

 だから、休みの日は積極的にボランティア活動をするようにした。

 そして、ぼくは少しづつ変わっていくのだった。


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