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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第二話 御子神蒼生の話
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御子神蒼生12

 井頭さんは、丁寧に仕事を教えてくれる。

 前に勤めたことがあるコンビニとはえらい違いだ。

 御子神さん、なんでも聞いてくださいねって言ってくれる。

 コンビニのやつらは、本当に教えたいのかどうかわからない。

 新人の失敗を陰で喜んでたりするのだ。

 それをディスって安心する。

 自分のこと、こいつよりましだって思って自分を確認する。

 本当はきちんと仕事を教えたら自分が楽になるのにね。

 学校でもそうだった。

 変なカーストを作って序列を確認する。

 

 ここに雇ってもらって、そういうのが間違い立って気づいた。

 野生動物みたいにマウンティングなんて取る必要はないんだ。

 自分の子孫をたくさん残そうなんて原始的な行為なのだ。

 そういうのをハナにも教えてもらったし、ここでも学んでいる。

 

 それだけじゃない。

 異世界に行ったとき、頂点に立ったけど。

 ただ、虚しいだけだった。

 ぼくに近づいてくるのは、取り入ろうとするものだけ。

 そういう経験もぼくにはプラスになっている。


「ハナちゃんでしたっけ。

 御子神さんの猫」


「ええ、事務所で預かってもらってます」


「かわいい子ですね。

 すごく頭がいい。

 ぼくにも挨拶してくれたんですよ」

 井頭さんは目を細める。

 そう、この人も猫が好きなんだ。

 井頭さんも猫を飼っているらしい。

 ここには連れてきていないけど野良の子を拾ったらしい。

 井頭さんとは猫のことで話が弾む。

 こういうところも楽だ。


 他人は普通、ぼくの過去とかを聞きたがる。

 引きこもりだってことがわかると、説教モードに入る。

 親に言われるのはわかる。

 でも、お前らにはなんの迷惑もかけていないだろ。

 

 井頭さんや社長はそんなことを聞かない。

 仕事上では注意を受けることはある。

 それはぼくにも納得できるもの、逆に言ってくれないと困る。

 大きなミスにつながるからだ。

 特に機械の扱いについては厳しい。

 指の一本でも失ったら取り返しがつかないからだ。

 

 それ以外は猫の話、テレビの話、差しさわりのない話しかしない。

 ぼくはこの心地よい場所でハナと暮らせる幸せを感じていた。


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