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猫にひかれて異世界生活 みじかい尻尾  作者: PYON
第二話 御子神蒼生の話
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御子神蒼生10

 そのあと、社長といろいろ話をした。

 社長も昔、事業に失敗してホームレスになったことがあるらしい。

 だから、年に数人はホームレスの支援センターからの人を受け入れているらしい。

 そのときホームレスの人や支援センターの人にお世話になった恩返しみたいなものらしい。


 それから、猫にも救われたって話。

 なんとかホームレスから逃れたあと、猫を拾って、その猫に励まされてここまで来れたっていってた。


 ぼくは恐る恐る聞いてみた。

 寮は猫を飼ってもいいのかって。

 寮といってもすごく古いアパートだから飼っていいってことだった。

 それだけでなく、お昼は会社に連れてきてもいいって許可ももらった。

 みんな猫好きだから、大丈夫って。

 他にも、そういう人がいるらしい。

 だから、猫アレルギーの人は雇えないとのことだった。


 ぼくは、明日手続きをすることとして、支援センターに帰る。

 その前にハナにも報告をしないとな。

 ぼくが先生のところに行くとハナが出てくる。


「ハナ、これから一緒に住めるんだ。

 ありがとう。君のおかげだ」

 ハナはナーって返事をする。

 やっぱ、この子は人間の言葉がわかってるよな。


 ぼくは先生に就職の報告をして、日本酒と猫缶を渡す。

 明日から、ぼくたちの新しい生活が始まる。

 ぼくは宿泊所に帰って手続きとか部屋のかたずけとかをする。

 明日はあいさつと寮への入所だけだ。

 

 社長の厚意で少しの支度金をもらえる。

 これがなかったら、この状態から抜け出せない。

 それは日給から月給に切り替えるのが難しいからだ。

 自己破産状態では融資も受けられないし、この一か月生活をすることができない。

 もちろん貯金もあるわけがないしね。

 ここを公的に補助してくれたら、もっと楽に就職できるんだけど、自立支援にそういう補助金はない。

 とにかく食事と住むところだけを保証して、就業しながら、お金を貯めて出ていく。

 そういう支援だ。

 でも、ぼくたちはそこまで強くないんだ。

 そういう計画的なことができるんだったら、こんなことになっていない。


 でも、今回はいいところに就職できた。

 社長はぼくたちの状態をよく知ってくれているんだ。

 だから、本当にぼくたちを助けようとしてくれている。

 うわべだけの支援ではないんだ。

 

 ほんとうについてる。

 でも、これはみんなハナのおかげなのだ。

 まるで、ハナがぼくを導いてくれているみたいだ。

 明日からハナと一緒に生活できる。

 そうすれば、もっと明るい未来が開ける、ぼくにはなぜかそんな気がするのだった。


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