ぼくの口笛に乗せて、キミはやってくる!
___ぼくの村は、貧しい村だけど?
みんな笑顔で心優しい人ばかりが住んでいる村なんだよ。
特別、有名なモノや何か凄いモノが取れる訳でもないのだけど?
ぼくは、この村の人たちが大好きだ!
___それにね?
ぼくだけの “特別な場所” があるんだよ!
崖の上を登って見ると、そこは絶景の場所なんだよ。
ぼくは一人! そこで寝転んだり一人で走り回って寝てしまう
こともあるんだけど? とっても、居心地のいい場所場なんだ!
*
___そんなある日。
ぼくは、いつも通りその場所で寝転んで口笛を吹いていたんだ。
【ヒュルルル~♪ ヒュルルルル~♪】
明るくて、元気の出るような音に乗せて、ぼくは口笛を吹き続けた。
そしたら? 遠くの方から、ぼくの方へ何かが近づいてくる!
【ゴォーーーーーー!!!】
しかも!? 凄いスピードで、近づいてくる!
よく見れば? どんどん大きくなっている!
【ゴォーーーーーー!!!】
ぼくと同じ肌色の体、これは!? 一体!? なんなんだ!?
【ゴォーーーーーー・ドーーン!!!】
・・・えぇ!?
___ぼくの前に現れたのは?
大きな大きな体をした、羽の生えた巨人だった!?
ぽっちゃり体型の男の巨人!
『___君が口笛を吹いていたのかい?』
『・・・ううん。』
『オラの名前は、中田だ!』
『・・・えぇ!? 中田君なの? ぼくの名前は、ランだよ!』
『そうか、ラン! オラは珍しい巨人らしいんだ! ほら? ココに!
翼が生えているだろう? 本来、巨人は翼が生えないんだと!』
『・・・確かに! 翼が生えている巨人なんて! 見たこと
も聞いたこともないよ!』
『___なんなら? オラの背中に乗ってみるか、ラン?』
『___えぇ!? 本当にいいの?』
『___あぁ!』
___中田君は、ぼくにそういうと?
中田君の背中の上にぼくを乗せて、空を飛んでくれたんだよ。
『___わーあ! 凄いや~中田君って! 凄いよ~! 空を
ぼくは、飛んでいるんだーーー!!!』
『___そんなに嬉しいのか? ランなら、いつでもオラの背中に乗
せて空を飛んでやるぞ! その代わり、ランの口笛を聴かせてくれた
らな!』
『___もちろん、いいよ! 中田君なら、いつでもぼくの口笛を聴
かせてあげるよ!』
『___オラたち、仲良くできそうだな~!』
『___そうだね!』
___ぼくと中田君は、直ぐに仲良くなったんだ!
大きな巨人の中田君! 翼が生えている中田君!
ぽっちゃり体型の中田君! 目が一重で、癒し系の中田君!
・・・それに、中田君は誰かに似ている?
ぼくは、ずっと考えてて! やっと思いだしたんだよ。
___ぼくの亡くなったおばあちゃんだ!
優しそうな顔に、いつもぼくはおばあちゃん子でべったり
おばあちゃんに甘えていた事を中田君を見て! 思いだしたんだよ。
*
___それからというもの。
ぼくが、お気に入りのあの場所で口笛を吹くと?
中田君が、どこからともなくぼくの居るところにやってくる
ようになったんだよ。
___そして!
ぼくは、なか中田君の背中に乗って空のお散歩をするんだ。
『___空って、いいね!』
『___空って、いいよね!』
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