096-河童窟
赤鬼契約から3日たちました。
私は今、自由を許されてから入れるようになって以来通っている[河童窟]に鉱石を[採掘]しに来ております!
[河童窟]は[エード]から出て狸たちがいる[エードの森]の先にある[河童湿地]にあるダンジョンです。
ここは、ジメジメした地下洞窟でいたるところに水たまりや地底湖がある洞窟です。その名のとおりこの洞窟は河童の本拠地なので河童がいっぱいいて目があっただけで襲いかかってきます。
ですが、そのかわり通常の採掘の手が入っていないので金属埋蔵量がすごいのです!さらに[採掘]スキルでも掘られていないため毎日堀り放題で、なかなか堀り尽くせないのでスキルもどんどん上がっていきます。
[採掘]はテクニックがLv1の[採掘]とLv10[倍化採掘]しかありません。Lv2~Lv9までは、[技書]がいらない自動習得の永続テクニックの採掘範囲増加1~8だけなのです。
地面を[採掘]でザクザク掘って鍛冶師の[精錬]でインゴットに変えていく。インベントリがいっぱいになったら自前の次元リュックに詰め直して採掘を続行する。
しばらく掘ってると奴らがやってくる……。
ギャギャギャ!気持ち悪い鳴き声を上げながら河童が襲ってくる。
河童は子供ぐらいの身長の緑色をした妖魔で、頭には皿が背中には甲羅そして手足には水かきがついている。キャラクターのような可愛い姿ではなくクチバシが付いた二足歩行のカエルのような姿です。討伐するとこの特徴的な部位を落とすので、ついでにお小遣い稼ぎもできる。
「また来たのね!」
私は採掘を中断してツルハシを持ってない左手で殴り飛ばし光の粒子に変えて行く、インベントリに[河童の皿]が増えた。うんうん、いい感じ!これを売れば後で使うかもしれない金属を売らずに[技書]を購入できるわね!
そうそう別行動しているアリッサはね、この街で[魔法露天]を出しているわ。
魔法露天ていうのはお金を払う代わりに魔法をかけてもらえる露天のことね、ちょっとした切り傷を直す弱回復が人気みたいで座ってるだけで少量の魔力と引き換えにお金が溜まっていくみたい……ずるい!
さらには奇跡魔法、召喚魔法、魔力調和のスキル上げも並行して行ってる。……全部対象が要らないスキルなのでどこでも上げ放題でずるい!
「ずるい!羨ましい!」
河童に八つ当たりをして溜飲を下げていく。きっと河童は大迷惑ね……。でも無限に湧いてくるんだからいいじゃない「ゲッ!マタオマエカ!」とか言ってるから、死ぬんじゃなくて素材を残して転移で逃げているのは確定よね……。もしかして妖魔って基本的に死なないのかしら?
そんなことよりスキルの上がり具合を確認しよかな。半透明の板を出して確認すると、なんともう格闘がLV6で採掘がLv8鍛冶がLv4まで上がっていた。
早すぎる!と思ったけど私はふとジャオンの宣伝文句を思い出した。
〈スキル上げ下げ自由!100を超えるスキルの中か好きな物をチョイス!1日2時間のプレイで1ヶ月でカンスト!?スキル追加もバランス調整もどんどんやります!さぁ君もジャオンを始めよう!〉
だいたい10時間プレイすればスキルが一つ10まで上げられる計算ね。スキルを上げ下げするの前提なのですごく上がりやすい。しかも一度上げたスキルは、下げても同じとこまでは成長率が十倍になるから、毎週スキル構成を変えてる人もたくさんいたわね。
そうね、今の私の状態は寝ている時以外ログインしているスーパー廃人と同じ育成ペースってことね。そりゃスキルも上がりますわ……。
さて!そろそろ帰りましょうかしらね。河童を殴り倒しながら洞窟から出ていく。出て行くときぐらい襲いかかってこなければいいのにね。
河童窟から外に出ると2~3度、私流の[飛んで行く]をすればすぐに街につく。ゲームと違って山を無理やり飛び越えられるのですごく近いわね。
河童の素材は魔法ギルドで買い取っているので売りに行く。するといつもは売買カウンターにいない人がいた。
「まさかあなたが赤鬼だったなんてねぇびっくりだわ」
何故か売買カウンターまでギルドマスターが出てきている。というか隠秘されるんじゃなかったの!?
「よくわかりませんがきっと何かの勘違いですわ」
とりあえず、とぼけておくことに越したことはないですね。
「ふふっわかっていますよ秘密ですものね!」
ギルドマスターは河童の素材を査定しながら話を続けた。
「強要じゃないのよ!強要じゃないのだけどね、できれば今度は火山地帯で輪入道の素材をとってきてくれるとうれしいな~」
そういいながら領収書と代金を渡しながら”任務”をくれた。
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火山地帯で輪入道から[燃える車輪]を5つ以上取ってくる。
報酬:5個につき 魔術系[技書]Lv1~6を1個 (選択制)
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「私は本国で冒険者をしておりましたので、このような仕事は大好きなのでどんどん依頼してもらっていいですよ」
「あら!そうなの良かったわ!よろしくお願いねぇ!あっ気が向いたらでいいのよ本当よ!」
「ええ、気にしないでください、他のギルドの方にもそう言ってもらえれば助かりますわ」
私は河童も飽きてきたので明日から火山地帯に行くことに決めた。
お昼も過ぎたので広場で[魔術露天]をやっているアリッサを迎えに行く。
「アリッサ~お昼行きましょ~」
「おかえり~ご飯ご飯~」
私とアリッサは近くの定食屋に入りそれぞれ食事を注文した。私は天ぷらそばで、アリッサはきつねうどんを注文した。おしゃべりしながら食事が来るのを待つ。
「採掘お疲れ様~調子はどう?」
「順調よ!もう少しで[魔道具技師]と[鍛冶師]を両方Lv5にできるぐらいの金属資材が貯まるわ」
「へ~私の方も順調だよ全部Lv7になったよ~」
「じゃあもうギルドじゃ[技書]を売ってないのね」
「そうなのLV6のテクニック使っても、もうスキル上がらなくなっちゃった」
流石に早いわね、物理戦闘や採取系だと基礎テクニックだけでLv10までいけるけど、テクニック依存のスキルはそうは行来ませんからね。うーん目的の物を落とすまで妖魔を倒すのは非常にめんどくさい!ゲームだとプレイヤーがやってるお店で[書写]スキルでコピーした[技書]が全種類売ってましたけど……。試しにプレイヤーが家を建てられる[建築許可地域]に行ってみるのもいいかもしれませんわね。
「プレイヤーのお店があるかもしれないところに行ってみる?もしかしたらお店があるかもしれないわ」
「そんな場所があるんだ行ってみたいな~」
「ちょうどその近くの火山地帯に行こうと思っていたから……」
あら?そういえば[火山地帯]は、[エード]から[河童湿地]を越えた先にある南部の中華風の都市[ツマシュウ]を通り[建築許可地域]越えた先だったわよね?そうだ!
「アリッサ!明日のお昼は中華料理を食べたくない?」
「めっちゃ食べたい!」
明日は午前中は中華風の都市[ツマシュウ]で昼食を取り[建築許可地域]を通って[火山地帯]へ行くことになりました。
私はそばをすすりながら、賑やかだった[建築許可地域]を思い浮かべていた。
あの賑やかさのままだったらいいな……。
昼食を食べ終わった私は生産ギルドに[技書]を買いに行った。鍛冶師スキルのLv1[武器作成]とLV1[防具作成]購入した。
こちらも同じく売買カウンターまで出てきていたギルマスのちびヒゲ爺から「ワシも頼み事があるんじゃ!あいや!強要じゃないんじゃぞ!出来たらでいいのじゃよ!」と[火山地帯]で硫黄を採掘してくる任務をもらった。
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火山地帯で[硫黄]を10個以上取ってくる。
報酬:10個につき 生産系の[技書]Lv1~6を1個 (選択制)
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明日は忙しくなるわね!
護衛をつけないといけないレベルのダンジョンに単騎突入してゴリゴリスキル上げてます。格闘スキルがあまり上がってないのは、殴る回数が少ないという単純な理由ですね。
次回は召喚のテクニック紹介と超越者たちについての予定(は未定)




