表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
邪竜物語に首を突っ込む編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/158

092-正拳突き

 私は心を鬼にして可愛い狸たちを殴りつけたり蹴り上げたりする。一撃で光の粒子に変わるので、血が飛び散ったりすることがないのがせめてもの救いだ。作業のようにどんどん狩っていたらアリッサが声をかけてきた。


「テクニック使わないの?」

「あ!存在を忘れてましたわ!」


 私は戦闘に夢中ですっかり忘れていた。えーと戦いに使えるテクニックは……。


 格闘[正拳突き]、無属性拳法[脚壁(きゃくかべ)]、増強魔法[心眼]、投石[投石]全てLv1のテクニックだね。


 まずは[投石]よ!


 手にゴルフボールくらいの石ころが現れた。手頃な石を探さなくていいのがスキルってことなのね。


 出現した石ころを狸に向かって投げつける。石は見事に命中して軽々と狸を打ち抜き地面にめり込んだ。


「筋力補正が付いてるからかなり強いみたいね……。でも鍛える気には、なれないわね」

「じゃ~次行ってみよう!」


 アリッサに促されて次のテクニックを試す。一応魔法である増強魔法の[心眼]だ。このテクニックは動体視力を向上させて攻撃を当たりやすくするというテクニックだ。とりあえず自分にかけてみる。


 「[心眼]!」と唱えると目の前に手のひら2個分ぐらいの縦長の御札が出現した。その札が私の体にすうっと染み込むと視力の向上を感じた。視界の端でも何がどう動いたのかがしっかりと分かる。


「うん!結構いいわねこれ!アリッサもどうぞ[心眼]」


 私はアリッサにも札を飛ばした。体にすうっと染み込んでいく。


「うわ~なんだかすごい!世界がはっきり見えるって感じだね!」

「でしょ!増強魔法って意外といいかも!」


 私が求めていた魔法は、炎を出したり氷塊を飛ばしたりするド派手なものやパーティの中心になる回復魔法だったんだけど、これはこれで意外と魔法っぽくていいわね!魔道具制作よりよっぽど魔法っぽいわ!


「うんうん、魔法が使えないって落ち込んでたけどこれは立派に魔法だよ!良かったねマルレ」

「そうね!これからは増強魔法を鍛えて魔導師って名乗るわ!」

「え……。まぁ好きにしたらいいと思うよ……」


 あらなんだか急に乗り気じゃなくなっちゃったわね……。まあいいわ、増強はLv10決定ね!


「さて次は……無属性拳法の[脚壁(きゃくかべ)]ですわね」


 無属性拳法……私はこのスキルを知らない。私の知ってるジャオンとはなんだか少し違うみたいだ。属性拳法には無属性なんてものはなかった……。


「実は、ゲームには無属性の拳法なんて無かったのよね」

「へ~やっぱり実在すると色々影響を受けて変わってしまうのね~」

「そうね私達も悲劇の物語を叩き壊してやりましたもんね」

「主にマルレがね~」


 アリッサと二人でハハハと笑った。


「よーし!では[脚壁(きゃくかべ)]いってみますわ!」

「いけー!」


 私は精神を集中して技書のイメージ通りに足の下に強固な壁があるとイメージする。


「[脚壁(きゃくかべ)]!」


 私は試しに大地を踏みしめてみた。いままで触れてきた何よりも硬くそして少し反発するような感触まである。


「で?それどんなテクニックなの?」

「簡単に言うと足の下の地面がすごく固くなってる」

「なにそれ?意味あるの?」

「すごいわよ!ちょっとまって、見ればわかるわよ」


 私は、地面を思いきり蹴り空へと飛び上がった。いつもある足元が凹んで力が逃げていくような感覚がまったくなかった。そして、飛びすぎた……。


 雲を突き抜け島の全景が見えるほどの上空で勢いはなくなり、自由落下に身を任せる。


 私は空中で悩んでいる……着地したら小さなクレーターができそうね……。


 あ!そうだわ![脚壁(きゃくかべ)]を使えば被害ゼロで着地できるかも!


 下を見ると私がいた場所がぐんぐんと迫ってくる。落下地点を調整してタイミングを図る。


 「[脚壁(きゃくかべ)]!」


 私は見事に地面に凹み一つ作らずに着地することに成功した!


「ね?すごいでしょ!」


 嬉しくなって意気揚々とアリッサに報告した。


「もう!お姉ちゃん飛びすぎだよ!戻ってこないかと思うぐらい滞空時間長かったよ!」

「ご、ごめんなさい、力が全て伝わって思ったより高く飛んでしまったのよ……」

「ああ……そういう効果があるのね。足場が耐えられなくてフカフカの布団の上で戦ってるみたいって言ってたのが解消されるってことね」

「そうよ![脚壁(きゃくかべ)]を使ってる間は周りへの被害も抑えられるし、威力も全部伝わるからこれはすごいわよ!」


 私の力説しているのにいまいち食いつきが悪いわね。踏み込むと足元が凹んで力が抜ける感覚なんて普通はわからないから仕方がないわね。


「ではラスト!格闘の[正拳突き]を試しましょ!」

「おー!ついに技っぽいの来た~」


 私は狸に向けて拳を構えテクニックを発動する。


「[正拳突き]!」


 体中に力がみなぎる!私の周りに赤い霧が立ち込める!


 なんで!?勝手にエンド・オブ・ブラットが発動してるわ!不味い!抑え込まなくては!


「ちょっとマルレ!何してるの!」

「アリッサ!防御して!」

「光の障壁!」


 アリッサが防御壁をはったのを確認すると無理やり止めていた[正拳突き]をテクニックが誘導するままに放った。


「もう抑え込めないわ!」


テクニック:正拳突き

 腰を深く落とし()()()()を込めた突きを放つ!


 私は、「お嬢が全力出すと地形が変わるからダメ!」と言われたのを思い出した。それは流魔血の訓練を全力でやりたいと言ったときに聞いた言葉だった。 


 たぬきめがけて放たれた私の拳は、たぬきはもちろん周囲の地形ごと弾き飛ばした。その衝撃波は白い筋となって目に見えるほどだった。


 爆音が過ぎ去りあたりを見回すと私の後ろとアリッサの後ろ以外の地面が放射状に森ごとごっそりと削り取られていた。


 爆風にえぐられて土が露出している場所には所々光がキラキラと立ちのぼっていた。


「狸狩り終わりましたわ……」

「うも~~~~なぁぁぁぁああああにやってるのよ!お姉ちゃんのバカ!」

「違うのですよ!テクニックが!テクニックがね全身全霊で攻撃するってなってるのよ!だから勝手にこうなってしまったわけで、私のせいじゃないわよ!」


 私達は言い合いに夢中になり近づいてくる人々に気が付かなかった……。


「一体これは何事だ……二人共きっちり説明してもらおうか?」


 そこにはフフフフと笑うレンさんと刀やら槍やら様々な武器を持った大勢の人々が立っていました。


 いつもハハハ!と豪快に笑うレンさんがフフフフフと笑っている姿はとても怖かったです。



ゲームの技って攻撃力とかでダメージ110%とか書いてありますよね~だから手加減できないんだろうなと思ったのですよ。


次回はワールドイベント関連の予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ