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怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
邪竜物語に首を突っ込む編

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090-生産ギルドのお仕事

 現在私は瓦屋根からレンガ造りの煙突が伸びているあまり見たことない組み合わせの建物の中で人と会っていた。


「生産2種に採取系3種か!カァ~外国のお客さんじゃなきゃ生産ギルドと専属契約してほしかったな!」


 生産ギルドに到着し門番さんに初級技書屋でここに来るようにと言われたことを伝えると、作業場なようなところに案内された。そこには藍染作務衣姿で立派な白ひげを蓄えた身長の低いお爺さんがいました。彼は生産と採取系のスキル持ちを束ねる生産ギルドのマスターで仕事の仲介や素材、生産品の買い取りも行っているようです。


「技書5個ぶんかー、んなら採掘と鍛冶が揃ってるから銅インゴット50ってところだな」


 小さいお爺さんは白くて長いヒゲをいじりながそうつぶやいた。私はその様子を見て”ちびヒゲ爺”と勝手にあだ名を付けた。


「あの、採取はどこですればいいのです?」

「銅と鉄ならギルドの裏にスキル用の鉱山があるからそこで採掘してくれ」


 ちびヒゲ爺は乱雑に積まれたツルハシの中から一本引っ張り出して私に手渡してきた。受け取ったツルハシがなんの変哲もない普通の物だと確認してから疑問に思ったことを口にした。


「スキル用の鉱山というのは普通の鉱山とはなにか違うのですか?」

「ああ、そういえば外国人だったなスキル用の鉱山というのは埋まってる鉱石を掘り出さないでそのままにしておく場所だ」

「よく意味がわかりませんわ……掘らないのに掘っていいのですか?」

「そう慌てるでないテクニックの説明をしてやろう」


 私は採取系と生産系のテクニックついて詳しい説明を聞いた。


 そもそもテクニックでできる[採掘]と実際に行動起こして行なう採掘は全く違うものだった。


 テクニックではない普通採掘というのは物理法則にしたがい鉱石そのものを掘り出すのに対してテクニックによる[採掘]はテクニックを使用した近くに埋蔵されている鉱石に反応して同じ物を手元に生み出す能力らしい……。もは採掘ではない魔法のたぐいだ!生み出したあとはしばらく時間を置かないと再度使用できないらしい。


 私はジャオンの仕様を思い出していた。適当な場所に[採掘]を使うとインベントリに勝手に鉱石が入ってくる仕様だった。何度か[採掘]すると”採掘できるだけの鉱石がありません”と表示されるが、24時間経つと復活している。そしてスキルを上げることにより参照する距離が球状に広がり採掘できる鉱石の種類も増える。ゲームではよくある設定だがリアルに組み込まれると恐ろしいことだった。


「なにそれすごすぎます!実質無限ではないですか!」

「そうじゃスキルの存在がこの小さい島国が鎖国できる理由でもあるのぉ。木材も鉱石も薬草も野菜もスキル持ちがいればより多く手に入るからのぉ」

「それだと資材が溢れてしまうのでは?」

「いや、再習得時間と使う体力の問題でそれほど増やせんのじゃスキル持ちもあまり多くはないからの」

「そうですか……話がそれましたが、とにかく裏手の鉱山で銅鉱石を[採掘]してそれを[精錬]して持ってくればいいのですね」

「そうじゃ、それではよろしく頼むぞぃ」


 私はギルドの建物から外に出た。


「マルレおかえり~どうだった?」


 声をかけてきたアリッサの隣には柴犬がちょこんとお座りしている。それはLv1召喚獣の[忠犬]で私のアドバイスどおり召喚魔法スキル上げのために出現させているのだ。召喚魔法は召喚している間は魔力を消費する代わりに命令をきいてくれるの使い捨ての魔獣だ。使い捨てとは言っても魔力で作られた体が霧散するだけで本体は別の世界に居るという設定だ。


「裏の鉱山で鉱石を掘ることになったから一緒に行きましょう」


 渡されたツルハシを肩に背負って受けた仕事内容を話した。

 

「は~い よしワンコ”付いてこい”」


 ワン!と子犬のような高い声で返事をするとアリッサの跡をついて回る。かわいいし便利だし羨ましすぎて頭がおかしくなりそうだわ!


 私は裏手に回り岩がむき出しになっている地帯へと踏み入れた。近くにある看板には”採掘師スキル専用鉱山、掘り出し禁止”と書いてあった。


 私は手にツルハシを持ち[技書]で覚えた[採掘]を行なう。ツルハシを地面へと振り下ろすとザクっと謎の音がして赤茶けた石ころがボロっとこぼれ落ちるとすぐに消えた。”荷物”と唱えインベントリを確認すると銅鉱石が一つ収納されていた。


「うわ~すごいゲームっぽいね」


 アリッサが採掘の様子を見て感心したように言った。私はゲームのときと同じような感覚で[採掘]を続けたまま会話(チャット)を楽しむ。


「そうよ、ゲームと同じで一日経つと同じところでまた取れるのよ。スキルの性能やばすぎるわ」

「すごい!あっという間に大金持ちじゃん!」

「そうね、でもそのうち使うから売らないけどね」

「何だ残念ね~ワンコ~」


 こっちは必死にスキルを上げているのにワンコと戯れるだけでスキルが上がるなんてお気楽なものね…‥


「おっとMP減ってきたね [瞑想]!」


 アリッサは胸の前で手を合わせ目を閉じて[瞑想]に入った。炭酸が弾けるようなシュワシュワ音を出しながらほんのり黄色い光りに包まれている。ゲームやってたときから思ってたけど実際に見るとさらに仏像感が増すわね。


 [瞑想]は魔力調和Lv1のテクニックで瞑想している間は魔力がぐんぐん回復する。魔法使いにはほぼ必須で、特に回復役には欠かせないスキルだ。才能の組み合わせ運もいいみたいね。


 そんなこんなで採掘師Lv1になった頃に銅鉱石が50個溜まったので、鍛冶師スキルLv1のテクニック[精錬]で不純物を取り除いた金属塊のインゴットへと加工し始める。


「[精錬]!」


 そう唱えると目の前にはインベントリのような半透明の板が現れるのでそこに銅鉱石を入れて[了承]ボタンを押す。


 ゴォー!っと炎が吹き出すときのような音のあとに完成品が出来上がるので取り出してインベントリにしまう。まるで全自動洗濯機のようね。


 私が「アリッサ終わったわよ!」と声をかけるとキラキラした[瞑想]を止めてギルドの前まで一緒に戻った。また一旦アリッサと別れてちびヒゲ爺に銅インゴットを納品して無事に仕事を終えた。そのときついでに高レベルのテクニックを先に買っておくかと言われたがお金がないので遠慮しておいた。


 ゲームで敵や素材が永久に取れるのって現実だとやばいよねってお話でした。


 次回は魔術師ギルドへ行きます。

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