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怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
古霊の尖兵編

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074-デュオ・イ・クロス

 エンド・オブ・ブラッド状態で強敵に剣を振ればこうなることはわかっていたのに……。折れてしまったクレイモアの剣先を丁寧に拾い上げると、柄の部分と一緒に次元リュックにへとしまい込んだ。


「いいでしょう!あなたを強敵と認めます!」


 私は体制を立て直して再び槍を構えた黒鎧にそう宣言する。左手で手刀を作り軽く前に出し右手は握り拳を作り腰に添えて右脇を締め少し腰を落とした。


 私の戦闘スタイルはいくつかある。剣を使用した[剣術]、構えを取らず相手を足払いで引き倒したり掌底で地面や壁に叩きつける[喧嘩術]、きっちり構えを取り腰の回転などすべての関節と踏み込みの力を一点集中させる[格闘術]、この3種の戦術を使い分けている。


 魔物などの弱い敵を殺すための[剣術]、盗賊などの相手を殺さずに制圧するための[喧嘩術]、剣では対応しきれない強度を持つ敵には[格闘術]を使う。そしてここに身体能力を全開にした血終(エンドオブブラット)の組み合わせがある。


 通常剣術、通常喧嘩術、血終(エンドオブブラット)剣術、血終(エンドオブブラット)喧嘩術、通常格闘術、血終(エンドオブブラット)格闘術の順で強さを増していく。


 そして遂に初めて本気を!すなわち血終(エンドオブブラット)格闘術出すことになる。魔法学園で魔法の訓練の代わりに私はファーダに流魔血の制御と喧嘩術と格闘術を習ったのだが、いままで一度も本気で戦ったことはなかった。「地形が変わるから訓練もダメ!」と禁止されていた。


「全力で行きます!」


 私は思い切り地面を蹴ると爆発したように広場の石畳が吹き飛び散乱した。体に加速の衝撃を感じながら黒鎧へと突き進む。黒鎧は私の速さに対応できず回避を諦めて槍をクロスさせて防御の体制を取った。


 私は邪魔な槍を左手の手刀で弾きガラ空きになった黒鎧のチェストプレートに私の拳を突き刺さす。


 「ガゴン」と聞いたこともない金属音のようだけど、それとは少し違う音と共に黒鎧は吹き飛ばされた。広場の石畳をこするように削り取りながら半分地面に埋まり停止した。


 すぐに後を追い地面に横たわる黒鎧に向けて何度も拳を振り下ろす。


 一撃加える度に轟音と地面の揺れと地盤沈下が起こり漆黒の鎧を破壊していく。なかなか壊れない鎧に夢中になり何度も殴り付けていたけど、騎士団員の悲鳴で我に返り攻撃を止めて飛び退いた。


 あたりを見回してみると広場は広場ではなくなっていた石畳は飛び散り中央は大きく沈み込み悲惨な状態になっていた。グールを倒した騎士団員は怯えた様子で広場の端まで避難していた。


 ファーダが言っていた「地形が変わるからダメ」とはこういうことだったのかと納得した。


「まだ生きているぞ!」


 騎士団員の上げた声に驚き黒鎧を見るとたしかに起き上がろうとしていた。


「そんな……全力で殴っても倒せないなんて……」


 起き上がったヒビだらけの黒鎧から鎧の破片がボロボロと崩れ落ちている。どうやらかなりのダメージは与えたようですが致命傷には至ってない様子でした。


 鎧はどんどん崩れ落ち最後には砕け散り中にいるものが露見した。


 それは人ではなかった……黒い煙と言うべきか影というべきか……。ただ黒いだけの人の形をした何かが立ちすくんでいた。


「よもやここまで追い込まれるとは……」


 元黒鎧の黒煙はそういいながら手の先を鋭く尖った形状に変化させた。それはまるで先ほどまで持っていた槍のようだった。そして先ほどと同じように槍を構えるような姿勢をとった。


「あら?話ができたのですね?それがあなたの本性?魔物ではなさそうです?」

「ふん……魔物などと一緒にするな……真王軍のターダだ!お前を殺す者の名前だ!よく覚えておけ」


 ターダはふわっと浮かび上がると槍のようになった腕を向けてこちらへと突進してきた。もう一度構えを取り一撃目をどう回避しようか考えたときでした。


 赤い霧を纏った喪服のような黒いスーツで黒髪オールバックの人物が視界に割り込む!ターダと名乗った黒い塊を蹴り飛ばし地面へとめり込ませた。それは父ザロット・ドレストレイルとの一年ぶりの再会だった。


「マルレ無事だったようだな」

「あら!お父様お久しぶりです!」

「ああ、久しぶりだな」


 お父様は蹴り飛ばしたターダから目を離なさずに後ろ姿のまま答えた。


「こいつは硬い上に軽いな。衝撃が地面に逃げてしまいあまり効いていないようだ、私達とは相性が悪いな……。マルレよ、デュオ・イ・クロスは習得しているか?」


 デュオ・イ・クロス……ファーダとの訓練で習得した戦闘の型の一つだ。難しい型だったがなんとか習得している。固くて軽い敵を吹っ飛ばしてしまい威力が十分に伝わらないという弱点を克服した型だ。


「ええ習得しています」

「私が読み手をやる。さっさと始末するぞ」


 その場から散開した私とお父様はターダを挟み込むようにして構える。


「「デュオ・イ・クロス!」」


 血霧を纏った2人はターダを起点に鏡に写したように同じ動きをする。動きを合わせた二人の攻撃は、同時にターダに打ち込まれ吹っ飛ぶことを許さず衝撃を余すことなく体内へと伝え内部を徹底的に破壊する。


 この技は攻撃前の姿勢でタイミングと攻撃箇所を伝える。今回難しい読み手をお父様におまかせしている。私は姿勢を変えながら攻撃を繰り出す。それを読み取ったお父様が見事に攻撃を合わせターダにどんどんダメージを蓄積していく。


 攻撃が当たる度にターダから黒い煙が飛び出て霧散していく。その度に本体の濃度がどんどん下がっていき消えてなくなるのも近いだろう事がよみとれた。


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