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怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
古霊の尖兵編

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065-王都へ帰還!

「帰るなら影転移で送ろうか?」


 話がまとまり帰り支度を始めたところ、お兄様から部隊ごと全員闇魔法の影転移で王都に送り届けてくれるとの申し出を受けました。私は二日酔いの騎士と魔術師を叩き起こしてすぐに影転移で移動する準備を始めた。


 私を帰らせまいと「ずっといてくださいぃぃ」と脚にすがりつくニーニャさんを「学園に通うために王都に来るのでしょ?」と言って引き剥がした。厄介払いするようにアロイーンさんとリーシャーさんに預けて、一方的に別れの言葉を言って街の広場に集められた部隊へと合流した。


「うわー転移初めてだー」

「楽しみですね」


 ラーバルとアリッサはすでに到着していて、初めての転移に浮かれている様子だった。私は転移を何度も経験しているというか、お兄様の実験に付き合っていたので、慣れている。はじめの頃は座標の縦軸を間違えて2メートルほど落下したこともあったわね……と懐かしい思い出が蘇った。


「それでは転移をするぞ……。さて、恐怖を取り除くためにこれから原理を説明する」


 お兄様はそういって闇魔法の影転移について説明し始めた。


 影転移は次元リュックなどの魔道具と同じ異空間を使った転移術だ。内部の空間の時間は完全に停止していて普通は自由に動けないが闇属性を使えば内部で自由に動ける。亜空間中では全員精神ごと停止するので体感は一瞬だ。


「影が体を包み込むが……消して暴れないことだ……。首を残して転移してしまったら……どうなるかは想像つくだろう」


 恐怖を取り除くと言いつつ恐怖を与えるお兄様はさすがとしか言えないわね。


「では転移するぞ……」


 足元の影が普通の影とは違う漆黒の闇に変わると、ヒヤッとした漆黒がゆっくりと足先から体を包み込んでいく。暴れて首が残ったら……と先程言われたことをつい想像してしまう。頭の先まで包まれた感触がすると同時にそれがすっと降りてきて足元の影へと消えていった。


「無事到着だ……」


 あたりを見回すと景色が街の広場からロックタートルがうろつく王都の城門前に変わっていた。昼頃だったはずなのに日も傾きはじめていて感覚は一瞬だったが確かに時間は経過しているとわかる。ざわざわする部隊員たちと一緒に親友の2人も驚いている。


「うわー!すごい5日もかかった行軍が一瞬だ~」

「これはすごいですね……闇属性の方がもっといれば素晴らしいのに」


「うーん!久しぶりの王都ですわ!」


 私はふと思い出した。日帰りのつもりだったので、定宿の[うさぎ亭]の皆に何も言わず出てきてしまっていたことを!


「皆様すみません!急用お思い出しましたわ!お先に失礼いたします!」

「わかったよーじゃまたね~」

「はい、またお会いしましょう!」

「マルレ……たまには家に顔を出せよ……」

「はい!何かありましたら定宿にしている[うさぎ亭]かギルドにご連絡くださいね!」


 私は皆に連絡先を伝えると、心配しているかもしれない人が待ってる[うさぎ亭]へと急いだ。辺りは暗くなり始めランプライターが火の魔石を使った街頭に魔力を補充しながら点灯している。そんな日常風景の中を風が巻き起こらない程度の早足で宿に向かう。冒険者になってからは我が家の扉と認識し始めたウサギのシルエットが描かれたかわいい扉を開けた。


「ただいま戻りました!」


 そこには驚いた顔で仕事の手を止めた女将さんとペトラちゃんがいました。


「あー!マルレさん!やっと帰ってきた!」

「おや!やっぱり無事だったね!」


 やはり心配していたみたいですね。ちょっと遠征するつもりが聖剣やら魔王やらに巻き込まれて、ずいぶんと留守にしてしまいましたからね。そのかわり土産話はたくさんあるのでゆっくりお話しましょう。


「ちょっとおもしろいことに巻き込まれましてね!」


 私は夕食をいただきながら今回の遠征のことを話して聞かせた。もちろん牛男を倒したことや聖剣を振り回したこと、そして勇者一行に魔王城に置き去りにされそうになった事など伏せました。


「ええ……。魔王が攻めてきて攫われた大事件を面白いことで片付けちゃうなんてマルレさんやっぱりずれてるわ~」

「はは!だから心配いらないって言ったじゃないかい!」


「そうですわ、私はそこそこ強いのでご心配には及びません!」


 私がドヤ顔でそう言い放つと自然と笑いが起こり、久しぶりに和やかな気分で床につきました。


 ベッドに寝転がりこれからのことを考える。拳法の事を調べにクロービに入国するためにはガオゴウレンさんに推薦してもらう必要がある。しかし私はガオゴウレンさんについて何も知らない滞在先はもちろん出入りしている店や普段いる場所など何も知らないので連絡の取りようがないのである……。


「学園に行くしかないのかしら……」


 唯一の接点である学園で聞き込みしなくてはいけない……。しかしすでに卒業している私が入っても良いのか悩むところですね。


 私は散々悩んだ結果何も決まらずそのまま眠ってしまった。


は~久しぶり王都に帰ってきましたわ。

でもゆっくりしてる場合ではないですね。

宿の皆元気そうでよかったわ!

次回「私を連れて行って!」お楽しみに!


6/9次回予告分を少し変更しました。

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