表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
勇者物語に首を突っ込む編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/158

046-はじめての遠征

 冒険者生活をはじめて3週間この生活にもすっかり慣れて、宿屋うさぎ亭は第二の故郷になりました。狩りを主体に稼ぎ、時には気晴らしに船の荷降ろしの仕事をしたりしていました。お金に余裕も出てきたのでそろそろ遠くへ行ってみようかと思い装備を整えるために王都の商店をめぐりました。私のお目当ては2つ!1つ目は物がいくらでも入る次元リュックだ。


 次元リュックは空間がねじ曲げられていて、中のスペースが倉庫2軒分ぐらいあるすぐれものだ。使用してる魔石は闇属性でこれが便利でちょっと怖いんです。便利な部分は魔力補充しやすいこと怖い部分は補充に魂を使用することだ。目には見えないんだけど魔物を狩れば自動的に吸い取るらしい。


 便利なアイテムだけど欠点がある。それは重さが一切軽減されないので入れた分だけ重くなるのです。船や馬車だと積載量が決まっているし荷積みのバランスもあるので使用できず徒歩で持つには重すぎる。


 それに最新式の次元ポーチは荷馬車ぐらいしかスペースがない代わりに重さ半減機能があり人気が高いです。そして次元リュックは使いづらく需要もなくなり売れ残っていて在庫処分セール中でした。そう一般的には!ですが私には関係ありません倉庫2軒分なら多分持ち歩けます!


 そしてもう一つのお目当てはもちろん剣です!折ってしまったロングソードより幅が広くて頑丈そうなバスタードソードを買いました!フフフこれでまた私は剣士に戻りましたわ!


 買い物が終わってみると貯金が綺麗サッパリなくなりました。でも大丈夫ですわ!いままで森を往復してたので近場でしか狩れませんでしたが、これで遠くに行っても平気です!


 黒い魔石の付いた茶色い角ばった次元リュックを背負い、バスタードソードを腰のソードベルトに固定して準備完了!


 王都の入口に立ちギルドカードに地図を表示させて行き先を考える。


 私が今いるのはナウエルス大陸の北東部の半島にあるレイグランド王国の王都スハイシュです。王都は半島の端にあり東と南を海に囲まれた港湾都市で人の往来が多い都市です。西に広がる深い森は魔の領域とよばれ多くの魔物が住んでいる危険地帯です。


 表示範囲を適当に拡大しいろいろ見ていると、王都からかなり離れた魔の領域付近の森の中にポッカリ丸く木が生えていないところがありました。どうなってるんだろう?面白そうね、ここに行ってみましょう。この距離なら野営せずに行ける距離だ。普通は一日ではいけない距離だけど移動にも怪力を活かすことで長距離を移動できる。


 顔なじみになった衛兵さんに「いってきます!」と挨拶して王都を出る。


 楽な長距離移動方法それは空を飛ぶことです!とはいっても浮くわけではないんですが……。


 地面が崩れないように力を調節して走り勢いがついたらジャンプ!


 幅跳び感覚で空を飛ぶ!風を切る感覚に後ろへ流れる景色!この移動は爽快感がある。おっとそろそろ着地ね。私は着地地点の状況に構わず木に突っ込みなぎ倒すと地面に降りてまた助走をつけて飛ぶ。


 私流の[飛んでいく]を何度かして地図にあった森の中で木の生えていない円状のスペース付近に到着した。たしかこの先ね!次飛んだら飛び越してしまいそうなので、ここからは歩いて行きます。鬱蒼とした森を暫く歩くと前方が明るくなり目標地点に到着する。


 そこには見上げるほど大きな魔物がいた。頭が牛で筋肉隆々の体、手には大きな斧が握られている。多分これはミノタウロスとかいう魔物だよね?


 すでに武器を構えてこちらを見ている……。完全に見つかってますね、どうやら戦うしか無いようです。はじめての魔物らしい魔物で少し緊張しますね。覚悟を決めて新品のバスタードソードを鞘から抜き構える。


 戦いの火蓋は切られた。牛男は大きな体を揺らしながら突進してくる、私も臆せず距離を詰める。


 斧と剣が激しくぶつかり合い大きな音が森に響く。人が持つには大きすぎる斧の一撃を私は剣一本で軽くいなす。一般の剣士であればその豪腕に武器を吹き飛ばされるところだが私の強靭な握力はそれを許さない。再び武器がぶつかり合う!振り下ろされた斧を剣の振り上げで迎え撃った!大きな武器の振り下ろしに剣での振り上げで対応するのは愚策にも思えるが、私は軽々と斧を剣で跳ね上げた。跳ね上げられて腕が上がってしまった牛男は隙だらけだ!すぐに懐に潜り込みバスターソードで胴を横薙ぎにした。


「グオォオオオアア」

「効いてはいるようだけど、どうも手応えがないわね……浅かったかしら?」


 思わず後ずさった牛男は傷を触り深さを確かめる。傷が浅いと判断すると再び斧を振るい始めた。私は回避せず、すべての攻撃を剣で受け止める。そしてスキが見えるれば切りつける。攻撃が通らないことで牛男は焦りの色を見せはじめる。しかし私の攻撃も牛男の分厚い筋肉に阻まれ決定的なダメージを与えられない。


「なかなかタフじゃない!いいわ全力で行ってあげる!」


 力と力のぶつかり合いが始まり斧と剣は互いを削り火花をちらす。何度か打ち合うとついに均衡が崩れた!私は一瞬のスキを突き膝に深い傷を与えた。自重を支えられなくなった牛男は思わず膝を付く……これは大きすぎるスキだ。私はそれを見逃すはずもなく容赦なく首を狙う!


 素早く振られたバスターソードの軌道は首を捉えている!振り抜ければ首を飛ばすことができる!


 バスタードソードは首の表面の筋肉を超え動脈をも切り裂きついには頚椎に到達した。牛男の骨とバスタードソードの刃がぶつかる。そのまま振り抜かれると思われたが、何度も巨大な斧とぶつかり傷ついたバスタードソードは牛男の体重と振り抜く力に耐えられずついに限界を迎える。


 手応えが急に変わった……すぐに剣を手放す……。前にも味わったこの感覚……首から血を吹き出しながら倒れる牛男。


 勝った!確かに勝った!しかし首からバスタードソードを抜くのをためらう……あの感触……。


 私は恐る恐る牛男の首から剣を引き抜く……。引き抜いた剣は無惨にも中腹で折れ剣先は首の中に……。


「また折れたあああああああああああああ!」


私の叫びは静かな森に木霊した。 


ああああああああ!

いやああああああ!

次回「戦利品!」お楽しみに


[北東に広がる深い森]を[西に広がる深い森]に修正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ