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怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
王立魔法学園編 2年生
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024-盗賊団への強襲

 衝撃の事実を抱えたまま、盗賊団のアジトに馬車で向かっている。ラッシュ様から道中で、作戦と陣形を考えるように言われました。


 これはとっさの編成により、準備が万全でない状態で、戦う訓練だそうです。全て移動時間の内に生徒の私たちだけで、決めなければいけないそうです。


 まず初めにリーダーを決めた。すぐに私はアリッサを押した。回復役という重要ポジションと基礎戦術論の成績がトップだったからである。


 辞退するアリッサをアークと私で説得して、無事リーダーに決まった。アリッサがまず行ったのが戦力の把握だった。


 オゴウレンさんは、飛ばないが強力な魔法を直接相手に(たた)き込む近接魔道士だそうです。そして、弱いながら身体強化(しんたいきょうか)特性(とくせい)をもっていて耐久力は高いようです。アークは土、水、光の魔法が使え、攻撃から妨害や補助までこなす遠距離タイプの魔道士で耐久力は並だ。ラーバルは剣術と風魔法による自己強化で、耐久度はかなり高い。ファーダは潜伏や虚を突く攻撃が得意なアサシンで、素早さと耐久力を兼ね備えている。


「マルレは?」とアリッサに聞かれて私は悩んだ……。訓練をしたのは剣技だが今持っている装備は2本の短剣だ。流魔血の能力的には私もアサシンにカテゴリーされそうだけど、短剣はまったくつかたことない。いったいどの職業タイプにわかれるのか、さっぱりわからなくなっていた。


「えーと? 短剣が使えないアサシン? それとも剣を持っていない剣士? 自分でもよくわかりませんわ」

「あ~そうか、マルレの剣がなかったんだったね」

「お嬢、短剣の扱いは難しくないよ。リーチは素手と同じだから、拳で殴るのと同じようにして少し、ずらし刃を当てればいいよ」


 確かにこの一年で体術はきっちり学びました。少しずらすだけですか……なんとかなりそうですね。


「わかりましたわ。本当は剣士ですが今回だけ(・・・・)はアサシンとしてカウントしてください」

「うん、わかった! じゃ~陣形と役割を決めるね」


 アリッサを中心に、意見を合わせながら考えるとすぐに結論が出た。


 状況をみて支持を出すアリッサを中心に陣形を組む。


 前衛は、ガオゴウレンさんとラーバルの二人。中央にアリッサその左右をマルレとファーダで硬め、前衛を援護。そして、最後尾でアークが支援する陣形にまとまった。


 その話を聞いたラッシュ様は「では、私は少し離れて後ろからついてい行く。何かあったらすぐに呼べ」と基本はすべて生徒たちに任せるとおっしゃいました。


 アジトから少し離れたところに馬車を留め、20分ほど歩くとアジトの入り口が見えた。まずはファーダが入り口の見張りを排除してそれから突入し戦闘開始です。


「まず俺からいってきます」


 ファーダの気配が薄くなり見張りに素早く駆け寄る。気が付かれる事無く後ろに回り込み首に腕をかけ、締め上げて気絶させた。まったく音を立てず無力化する手腕は、プロの域に達していた。


「すごいな……。いつもの彼からは想像できない」

「すごいね~」「見事なものだ」「やるじゃねぇか」「さすがですわね」


 殲滅(せんめつ)作戦は順調な滑り出しをみせた。そのまま一気になだれ込み初めの広い空間で4人盗賊と対峙(たいじ)する。


「侵入者だ!」「ガキが6人」「さっさと片付けるぞ!」


 連携も何もなくバラバラに襲いかかってくる。


 一番に突っ込んできた盗賊をガオゴウレンさんが、殴り飛ばすようにして魔法を当てる。閃光(せんこう)とともに轟音(ごうおん)が響き盗賊は地に伏せる。次に動いたラーバルは、素早く前進し相手の懐に飛び込むと一刀で切り伏せる。あっという間に倒された二人を見て、残りの盗賊が逃げ出す。


「逃がすか! ストーンウォール!」


 アークの魔法が次の部屋に続く通路に石の壁を作り上げ二人の行く手を阻む。


「マルレ! ファーダくん!」


 アリッサの声に反応して、短剣を抜きなんとなく逆手に持つ。逃げ場が無くなった盗賊に迫る。地面を思いっきり蹴り距離を詰め、背中を向けた間抜けな盗賊を射程に捉える……。


 体術と同じようにしてずらして刃を当てる? 振るのではなく当てる? ずらす? 土壇場で考えがまとまらなくなった私は、そのまま短剣をもった拳で殴りつけた……。


 盗賊は殴られた勢いで、アークのだした壁に(たた)きつけられ気絶した。


「お嬢! ナイス短剣パンチ!」


 盗賊を締め上げながらケラケラ笑うファーダを見て、自分がだまされたことを理解した。


「あなた! 適当なこと言いましたわね!」

「しょうがないじゃないですか、素手で戦ってくださいって言ったらゴネるでしょ? 下手に剣技使って空振るよりいいでしょ?」


 確かに素手で戦えと言われたらゴネたでしょう……。剣がないから意地でも短剣を使って剣技をしていたでしょう……。


「ぐぬぬ……。本番中にゴネるわけにはいきませんわ。体術に切り替えます……」


「ナイス! ファーダくん」

「頑固者を納得させるとはやるな」

「マルレごめんなさいね。馬車に乗る前からこうなるって言われてて、黙ってました」

「フハハハ! 本当に言ったとおりになったぞ」

「お譲とは付き合い長いですからね! 任せてくださいよ!」


 偉そうに胸を張るファーダ。


「なん……ですって?」


 まんまとみんなに、はめられましたわ……。やり場のない怒りが私の中に沸々とこみ上げる。


 怒りを抱えた私という獣がいる部屋に、騒ぎを聞きつけた盗賊がなだれ込んでくる。


「みなさま……ちょっと八つ当たりしますわ。手出しは無用で!」


 この一年で完全に制御下に置いた流魔血を使う……。装備が意にそぐわないものだったこと。我家の仕事を知らされていなかったこと。説得に応じないがために自分が取らせた友の行動……。全てのもやもやを晴らすがために、盗賊を相手にするには過剰な力に手を出した。


「エンド・オブ・ブラッド!」


 そう宣言すると体を巡る魔力を増大させる!


 血管から追い出された血は、ゆらゆらと赤い煙になって霧散する。飛べるのではないかと思うほど重力の抵抗を感じられない。戸惑う盗賊を標的に据えると、私は怒りを解き放った。


 完全なるやつあたりが、盗賊たちを襲う!



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