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怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
王立魔法学園編 2年生
22/158

022-交流イベントの始まり

 時がすぎるのは早いですね、2年生もあっという間でした。


 私は、魔法実技で流魔血を自在に操れるようになった。ファーダから気配を消す技や、壁に張り付く技などを教わりました。


 体力訓練は退屈になると、覚悟していました。ですが、砂丘や山林に雪山それぞれ脚の運びが違うランニングには、意味があったようです。それは、どんな地形でも自由に動けるようになる訓練でもあったのです。おかげで、地形を気にしなくても、いいようになりました。


 冒険に役立つそう思うだけで、どんどん楽しくなった。けれども楽しかったのは私だけで他のみんなは、違いました。体力訓練の時間が来ると明らかにテンションが下がっていた。


 2年生の授業内容は、基礎戦術論、基礎魔道具理論、基礎建築学、そして魔法実技に体力訓練だった。


 疑問に思った私は、アークに歴史や算術の授業はないのかと聞いたら


「そんなもの1年で全部終わってるだろ。他の学園とは違うのだぞ?」


 だそうで、どうやら認識が間違っていたみたいです。


 この学園は前世で言う普通科の高校に、魔法をくっつけたようなものだと思っていた。ですが、実は即戦力を育てる場所でした。3年生からは各分野にわかれ、さらに専門性が高まるそうで、進路にあった学科を選択するようです。


 そしてついに、2年生最後の締めくくりである交流イベントが開催される。当初はお茶会や夜会などだと思っていたが、どうやら違うらしい。交流イベントの内容は、徹底的に隠されいます。ファーダの話では、先輩から「まぁ……がんばれ」としか言われなかったらしい。


 クラスみんなで、何か一つのことをやるのだと思っていた。ですが、私たちは、班分けされて個室に呼び出されていた。私の班は、アーク、ラーバル、アリッサ、ファーダ、そしてまだ来ていない一人の6人で組むことになった。


 6人目は誰が来るのだろう? そう思いながら待っていると6人目のメンバーが入ってきた。


 巨人!そう思えるほど大きな体に鍛え上げられた太い腕。肌は浅黒く異国を思わせる。野生動物のような雄々しい顔立ち。髪はライオンのたてがみを思わせるような、ウェーブの掛かった長い金髪だ。


「ガオゴウレンだ! よろしく」


 うわすごい! 見るからに強そう! 名前と見かけからして国外出身の方かしら?


「アーク・セイントレイトだ。よろしく」

「ラーバル・バルトレイスだ。よろしく頼む」

「アリッサ・エトワンスです。よろしくね~」

「ファーダです。よろしくー」

「マルレリンド・ドレストレイルですわ。よろしくお願いします」


「フフッ有名人ぞろいだな……。王族に騎士副団長、それに治癒姫に闇烏(やみがらす)そして慈愛(じあい)薔薇(ばら)か」


 治癒姫? 闇烏(やみがらす)? 聞いたことない通り名が……。というか慈愛(じあい)薔薇(ばら)……? 他をいじって流しましょう。


「アリッサって治癒姫なの?」

「うう……。マルレには知られたくなかった……。階段から落ちて怪我(けが)をした下級生に回復魔法を掛けたら、変な通り名がついちゃったの! 私は嫌なのに!」


 治癒姫……似合いますわ! そして、嫌がってるのがすてきで、よけいに呼びたくなりますね。


「かわいくて、いいじゃない! 治癒姫様!」


 私が茶化すと、すぐさまファーダが乗ってくる。


「治癒姫様はファンが多いんだよ!」

「止めて! ほんとうに止めて! 怒るよ!」


 あら~怒ったアリッサもかわいいですね~。


「で? ファーダはなんで闇烏(やみがらす)?」

「ぼくは闇烏(やみがらす)じゃないよ。闇烏(やみがらす)はヴィクトル様ですよ」

「お兄様?」

「そう、なぜか勘違いされているの」


 そういえばお兄様も学園に通ってましたね……。今の3年生が1年生のときに、在学していたはずです。


「ファーダくんは、足音と気配を消しているだろ? そうすると、影だけが動いているみたいに見える。そして、マルレの兄も同じように、過ごしてたから混同されているのだろう」


 アークの情報収集(しゅうしゅう)能力の高さは一体何なんでしょうか? わからないことがあったら全部アークに聞けば解決するのではないでしょうか?


「使ってる技術がぜんぜん違うんだけどね……」


「それよりもマルレ、おまえは、慈愛(じあい)薔薇(ばら)らしいぞ」


 半笑いのアークは面白がって言った。うまく流そうと思ったのに……。


「なんで、そんな事になってるんでしょうか? さっぱり見当も付きません!」


 冷血マルレから何がどうなったら慈愛(じあい)薔薇(ばら)なんてふざけた名前に……。


「私もはじめて聞いたよ~」

「すまない。マルレが春休暇に街で人助けしたことを騎士志望の学生たちに、話してしまった」


 ラーバルの仕業でしたか……。悪意がないので怒るに怒れませんね。


「悪評ではないので別に大丈夫ですよ。お気になさらず」


「フハハハ、面白い奴らだ。交流イベントが楽しみだな」


 ガオゴウレンさんが豪快に笑っている……いろいろ聞きたいですね! そう思っていると個室の扉が開き誰かが入ってくる。


 短髪の緑髪の凛々しい姿……。騎士団長のラッシュ・バルトレイス様ですわ!


「なぜお兄様が?」


 ラーバルも知らなかったみたいですね……。いったい交流イベントって、何をするのでしょうか?


「ラーバルか……。私は、交流イベントの護衛と引率を受け持ったラッシュ・バルトレイスだ。よろしく」


 ご……え……い? 交流イベントっていったい……。



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