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怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
自分達の物語に決着をつける編
139/158

139-バルトレイスの恥

 空を悠々と飛び回るラーバルを眺めていたら、いつの間にかすべてのグールがバラバラになっていた。アロイーンさんとリーシャーさんは早い段階で[もうコイツラだけでいいんじゃないの]状態になってしまったようで、ほとんど戦っていなかったようでした。


「「勇者と聖女ってなんなんだろうね……」」


 アロイーンさんとリーシャーさんは息がぴったりですわね。少々不憫ですがあの二人は戦い始めてから一年もたってないので、しかたがないでしょうね。


 でも邪魔になってしまうと思えるほど自分との差が理解できているのなら本格的に訓練を始めればどんどん強くなりそうですね。


「は~い!注目~グール退治も人質救出も終わったので難民キャンプに戻りますよ~。転移門出しまーす!」


 アリッサはそう言うとすぐに転移門を出しくぐり抜けた。


 先ほど転移門を使ったニーニャちゃんとレイシーズさんはさっさと門をくぐる。その次にリーシャーさんがアリッサに「師匠凄いです!」と称賛の声をかけて通り抜け、それをアロイーンさんが慌てて追いかけてくぐる。


 ファーダは、「転移とか……どおりでアリッサちゃん連れてるはずなのに追いつけない訳だ」と私達になかなか追いつけなかった事に納得して通り抜けた、ラーバルは「この門があれば敵軍の城に直接乗り込むことができそうだな」と軍事利用を口にしながら通り過ぎた。


 みんなが通ったことを確認してから私も門をくぐり抜け、難民キャンプの入り口へと転移した。


 通り抜けた先では笑顔の領民に囲まれているレイジーズさんの姿がありました。彼らはそのまま一団となりエプロストリング夫妻がいる少し大きめの小屋へと入っていった。


 そんな光景を見て何だか私はホッとして肩の力を抜いた。他のみんなも自然と笑みがこぼれていた。


 しかし、そのほんわかとした空気は突如現れた邪悪な気配に塗りつぶされた。


「アリッサ!転移門を早く閉じて!」


 私の必死の叫びも虚しくそれは、開きっぱなしだった転移門をくぐり抜けてきてしまった。


「やってくれたな勇者!あのような魔法でこのスルーベルを倒した気でいたか!」


 転移門から現れたのはガタイの良い男だった。短髪の緑髪で角張った顎に鋭い目つき、そして銀色に輝く鎧を身にまとい、手には2本の金色に輝く短槍を握りしめていた。


 スルーベル……屋敷に居た黒鎧達のボスね!部下とグールを潰されてさらには人質まで奪われ炎と氷の私に荒らされて、ずいぶんとお怒りのようですわね。


 勇者は何もしていませんわ!と声を上げそうになるがぐっとこらえた。アロイーンさんは、え?俺?とでも言いたそうな表情で屋敷に居たボスだと思われる人物を見ている。


 スルーベルと名乗った人物をじっと観察すると王都で戦った中身が黒いやつと同じ気配がする。多分生きている人間ではない……。しかしグールのように生気のない顔ではなく、まるで生きている人間のように見える。


 ここは私が出るべきか……。


 私が注視して観察していたら、突然ラーバルが敵に向かて大声を上げた。


「その鎧、武器、髪の色にその名前!貴様はスルーベル・バルトレイスか!」


 バルトレイス?ラーバルの一族かしら?


 銀鎧の槍使いはラーバルをじろりと見つめる。


「ふむ、その髪の色……貴様は愚弟の子孫か……」

「やはりバルトレイスの恥か!」

「恥はそちらだ!我こそが騎士団の正当な後継者だ!」


 何やら因縁があるようでラーバルと銀鎧は言い争っている。何だか話についていけないのでラーバルに聞いてみることにする。


「ラーバル?知り合いですか?」

「マルレもよく知っているはずよ、ロズヴァ・ドレストレイルを死に追いやった二人の内の一人よ!」


 ロズヴァ・ドレストレイル……初代様の娘で私のご先祖様です。彼女は死の間際にドレストレイル家に清潔の祝福を授けたお方ですね。その方を死に追いやったということは、初代様(トレイル)の怒りを買い殺された国を潰しかけた2代目の王とその側近の2代目の騎士団長……。


 ということは、目の前にいる男は300年ほど熟成された悪霊ってやつかしらね……。


「そうですか、私にも因縁のある相手ですね」

「すまないマルレ、ここは私に任せてほしい……。また我が家の尻拭いをドレストレイル家にさせる訳にはいかないのです……」


 私達ドレストレイル家よりバルトレイス家のほうが、討伐したい思いは強いでしょうね。 


「わかったわ、聞いた通りよファーダ!手出しは無用よ!」


 私は、赤い霧をまとい今にも飛び出しそうなファーダを諌めた。すると「やばくなったら俺も行きますからね」と渋々納得してくれた。


「お前は……トレイルのトリガーか……。ターダがお前を殺すのに3度も失敗しなければ偽りの王も偽りの騎士団もトレイルが滅ぼしてくれたものを……」


 トレイルのトリガー?ええと……ターダって誰だろ?私が死にそうになったことなんてあったかしら?うーん……無い!


「そう言うことだったのね!マルレの死をきっかけにトレイルが暴走して国を壊滅させる未来は全て、あんた達が仕組んだものだったのね!」

「何だって?まさか2年前の小国軍の決起もお前らの工作か!」


 アリッサとファーダがものすごい怒っている……。


「アロイーン!こいつらアンデットを動かしてる!ほら森の迷宮!」

「そうか!あのゾンビ化したミノタウロス!」


 アロイーンさんリーシャーさんもなにか合点がいったようです。


 ニーニャちゃんは何の話かわからない様子ですね。仲間が居てよかったわ。


「よくわかりませんが、私は死の危険を感じたことなど一度もありませんよ?」

「……ターダは想像を絶する無能だったようだな……。やはり私が直接出るべきだった!」


 銀鎧は金の槍を構え戦闘態勢をとった。


「マルレが出るまでもありません!私があなたを滅します!」


 ついにラーバルとスルーベルと名乗る悪霊の戦いが始まった。




 スルーベルさん登場!60話以上前にチョロっと出てた人です。黒幕ちゃんの側近ですね。


 次回はラーバルの戦闘シーンを織り交ぜながらマルレにアリッサがお話する予定です(未定)

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