表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!  作者: タハノア
自分達の物語に決着をつける編
128/158

128-5日の距離を2時間

ブックマーク登録が350件突破!

総合評価も900pt突破しました!


読者の皆様、ブックマークしてくれた皆様、評価してくれた皆様!

ありがとうございます!

 私は、空を飛んでいる。連続ジャンプする私流の[飛んでいく]ではなく、もはや完全に飛行している。


 [脚壁(きゃくかべ)]を出し地面を蹴り垂直上昇した後に[空歩壁(くうほへき)]を垂直にだし、それを足場に水平に跳ぶ。まるでプールの壁を蹴って泳ぎだすような感覚で空を飛んでいる。勢いが弱まってきたらまた[空歩壁(くうほへき)]をだして蹴り、勢いをつけることで飛行を持続する。


 私は何故飛んでいるかというと時間短縮のためです。農都からロットヴァルデ領までは大体馬車で5日ほどかかり、途中で野営もしなくてはいけないし、お尻も痛くなるらしいのでかなりめんどくさいのよ。そこで私はアリッサに提案したの「私が抱えて飛びましょうか?」ってね。


 そうしたら「農都から逃げるときに急加速のGで内臓が潰れるかと思ったもん!だからもう嫌だ!」だってさ。なので私が単独先行して記録板作って来る事になりました。


 私の移動方法は前からすごく大不評なのよね~抱えて飛んだ全員が二度とゴメンだとの評価をしたわ……。そういえばこれから向かうロットヴァルデ領に居る二人もそう言ってたわね。


 ギルドカードを取り出し地図を表示させて現在地を確認する。


「もう少しでビートムの街ね」


 ついでに中間地点であるビートムの記録板も作っておくことにする。街から少し離れた上空に[空歩壁(くうほへき)]を垂直にだして、そこに足を付き勢いを殺しそのまま下へ落ちる。地面を破壊しては困るので着地の寸前に[脚壁(きゃくかべ)]をだして音もなく着地する。


 少し道をそれたところで[転移書]を取り出し裏表紙にある[記録]を押し、自分用とアリッサ用に記録札を2枚作っておく。


「ちょっと寄り道していこうかしら?」


 私はせっかく来たのだからと街の中に入る。ギルドカードを作っておいたおかげですんなり街に入ることができた。


 聖剣を振り回しているところを目撃されて、勇者のアロイーンと聖女のリーシャーに付きまとわれたことを思い出しながら街を歩く。


「アロイーンとリーシャー元気にしてるかな~あっ!それと後輩で牢屋仲間のニーニャちゃんも元気かな~」


 いろいろ思い出しながら街を歩いていると、名物の串焼きの屋台が目に入った。


「串焼き20本ください!」


 私の鎧姿に屋台の主人はぎょっとしていたが、そこは年季の入った商売人らしく大量注文を逃すまいと、すぐに営業スマイルに塗り替えた。


 串焼きを次元リュックに[非常洋食]としてストックし一本は食べながら移動することにした。


 一口齧ると牛肉のような旨味が口の中に広がる。これがスマッシュエイプの腕肉だって知ったときは驚いたなぁ~完全に牛肉だと思ってたよ。


 街の反対側の門から外に出て人目につかない場所に行き、ギルドカードで方角を確認するとまた空を飛ぶ。


 空を飛びながら食べるのってすごくいいアイデアじゃない!?眼下を流れる景色を楽しみながら手に持っていた腕肉をひとかじり!


「冷たぁ!完全に冷え切ってる!」


 そうよね……上空を猛スピードで跳んでいるからこうなるよね……。


 上空の冷たい空気を浴び続けガチガチに冷えてしまった串焼き。それをちびちびかじり口の中で温めながら咀嚼する。


 しばらくそんな事を続けているとロットヴァルデ侯爵邸が小さく見えてきた。串焼きの最後の一口頬張り残った串を清潔の祝福で消し去りると着地の準備に入る。歩いても苦にならない距離まで近づきまた道を少しそれたところで記録板を作る。


「これでよし!あとは農都に帰ってアリッサに記録板を渡すだけね!」


 [転移書]を開き農都の記録板のページを開き[転移]のボタンを押して農都へ戻る。金属板が飛び出し転移が発動すると一瞬で景色がかわり、うさぎ亭の近くの路地裏へと移動していた。


 うさぎ亭で待ってたアリッサに記録板を渡すと「5日の距離を2時間てすごいわね~お疲れさま~」と労われた。すぐに宿を引き払い再び人目につかない路地裏へ行きアリッサの[転移門]でロットヴァルデ領へと舞い戻った。


「さて!まずは紹介状を見せて援軍として認めてもらわないとだね~」

「そうね。懐かしい顔を見に行きましょう」


 私達はロットヴァルデ侯爵邸へと歩みを進めた。以前一泊させてもらったお屋敷は戦火の跡もなく変わりない姿でそこに建っている。


 閉められた門の前には衛兵が二人居るだけで屋敷は静まり返っていた。私達の異様な姿に警戒している衛兵さんにアリッサが声を掛ける。


「こんにちは、私達はクロービから援軍に来ました。領主様にお取次ぎをお願いしたします。こちらは農都で頂いた紹介状でございます。」

「援軍ですか……紹介状か差出人は……げぇ!」


 げぇ!ってなんだろ?差出人はディータさんよね?


 あ……私はロットヴァルデ卿がドレストレイル家にビビりまくっていたのを思い出した……。


「失礼しました!領主様は現在、街の向こう側に前線基地を作り、そこで指揮を取っていますのでそちらにどうぞ!」

「わかりましたそちらへ直接出向きます」


 返却された紹介状を持って街を通り抜けて前線基地へと向かう。以前来たときは宴会していて、ろくに観光できなかった街をチラチラと気にしながら通り抜ける。戦争中らしく街の賑わいは少ない、生活に必要な最低限の店しか開いていなく観光できるような雰囲気では無かった。


 街を通り抜けると平原に天幕がいくつも張られている地域を見つけた。


「多分あれが前線基地でしょうね」

「そうみたいね~とりあえず一番大きい天幕から訪ねてみようか」


 一際目立つ大きな天幕に近づくと何やら言い争う声が聞こえてきた。天幕の前で面と向かって女性二人が言い争っている。その二人は互いに数十人の人を連れている。


「なんでしょう?隊同士の揉め事かしら?」

「そうみたいだね~、ん?あれリーシャーとニーニャさんじゃない?」


 足を止めてしっかりと見るとたしかにあの二人だ。会話の内容に耳を傾ける。


「何が治癒姫隊よ!勇猛果敢な慈愛の薔薇隊のほうが優れていますわ!」

「なんですって!回復の要である治癒姫隊がいなければあなた達はベッドでうんうん唸ってるだけの役立たずになるじゃない!」


 うわぁ……治癒姫はアリッサの慈愛の薔薇は私の学生時代の二つ名だ……。消し去りたい恥ずかしい二つ名だわ……。


 アリッサの弟子を名乗るリーシャー率いる治癒姫隊と、私の学生時代の話を聞いて虚栄の私に心酔しているニーニャちゃん率いる慈愛の薔薇隊……。


(たいへんおかしな事になっているようですわね……)

(マルレ!あれに関わっては駄目!正体がバレたら祭り上げられること間違いなしだよ!)

(そっそれは勘弁してほしいわね……。改名を迫りたいところだけど、ここは我慢するしかなさそうね……)


 私達は触らぬ狂信者に祟りなしと言うことで無視を決め込み。ロットヴァルデ卿に会うために大きな天幕へと向かった。


 今回は移動回でした。マルレが先乗りで記録板を作り後にアリッサの転移門で移動する基本スタイルができました。


 あとは信者化してしまった二人ですね。出せないかもしれない設定をここに置いておきますね。


 治癒姫隊:アリッサが魔術師団で率いていた部隊員です。彼らは魔術師団の離反に伴い魔王退治の援軍共に戦った魔防軍に部隊ごと移籍してきました。


 慈愛の薔薇隊:休校中の学園からニーニャが連れてきた学生と王都でマルレの戦闘を直接見た騎士団員で構成されている。


 次回はロットヴァルデ領の現状と対策の予定です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ