001-自由の始まり
プロローグ3話のあとに学園生活に入ります。
今私は、私を糾弾するための裁判のまっただなかにいます。鉄の鎖で腕を拘束され、議会中央にある証言台に立たされている。
「ここに宣言する。私はマルレリンド・ドレストレイルとの婚約を破棄、そしてドレストレイル家より追放とする」
第2王子であるアーク・セイントレイトが裁判の最後に宣言した。
その横には、平民であるアリッサ・エトワンスが座っていた。私はアリッサに度重なる嫌がらせをしたとして処罰された。その罰は、婚約破棄と同時にドレストレイル家から追放されることでした。
私はおびえて震えているような声で、確認する。
「そ、その決定は、いかなる事があっても覆されないのでしょうか……」
私はまだ焦らない、公式に認められた決定であることを確認したかった。
「もちろんだ! このような下卑たことをしたのだ! 決定は覆らない!」
ついに第2王子の言質が取れた! 今こそ喜びを爆発させる時!
私は大声で叫んだ!
「やったよ! アリッサー! 協力してくれて、ありがとう! ラーバルも、ありがとう! 私はこれで自由よ!」
「おめでとうマルレ!」
貴族脱出計画の協力者であるアリッサが、私を祝福してくれた。
「頑張ってね! マルレ!」
度々協力してくれた親友のラーバル・バルトレイスも、新しい門出を応援してくれる。
3人を除いた人々は、静まり返っている。
「それでは皆様、私は侯爵家の人間ではなくなりました! 自由に生きます!」
腕についた鎖を今まで隠し通した怪力で引きちぎり、床に投げ捨てると、カラン! と良い音がした。
「取りおさえろ!」
どこからか発せられた指示で、壁際に立っていた衛兵が私に迫る!
「うおりゃあああああああ」
護衛のチェストプレートに私の拳が突き刺さる! 衛兵は今まで立っていた後ろの壁にたたきつけられ、気絶したみたい。チェストプレートが拳の形にへこんでいるのを見て、ちょっとやりすぎたかな? と反省した。
「罰に拘束は含まれていないはずです! 邪魔しないでいただけません?」
そう吐き捨てると私は裁判所から出て雲ひとつない空を見上げた……。
6年に渡る作戦が完璧に成功した喜びをかみしめた。