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おもてなし

「あらお父様、どうさなさいましたの?」


どうやら覚えていないらしい。


「なっ...この方々を刺そうとしたのを覚えていないのか!?」


「あの...どちら様でしょうか...?」


「なっ...」


ポカンとする少女に対してトズは絶句した。我が娘が殺人を犯そうとしたのは操られていたからと知って神妙な顔をしている。殺そうとしなかったが操られていた。この2つは彼を板挟みにした。。


「とっ...ところでこの村の危機もさりましたよね...?」


コミュ障...これで限界!


もっといい言葉選びがあったろうにというマンゴーの視線がブッスブッスと突き刺さっているのについては敢えて触れないでおこう。勇者これ以上傷つきたくない。


「え、ええ、まぁ村の者全員の確認をついさっき終えました。他に怪しげなものや人物は見つかりませんでしたが...」


「良かった!実は旅続きでして...少し食事をとりたいのですが...」


「(ちょっとヒビキ!このタイミングで言わなくても!)」


「(す、すまん!もうお腹が鳴って鳴って止まらねぇんだ!)」


KYな勇者かもしれないが事実雅もペコペコで限界だった。


「でしたら村の食堂へどうぞ。念の為に護衛もお付けしましょう」


村長も意図を汲み取ってくれたのか、わざわざ店の前に護衛をスタンバイしてもらった。


「ん〜〜〜!これよコレ!」


雅はさっきと裏腹に大盛りの毒ボールを頬張っている。どうしてこんなに不味いものがどこにでもあるのか謎でしかない。


レタに教えて貰い、今日は贅沢なペェアンを注文した。


「はい!おまちどうさん!」


目の前に置かれたペェアンにはトロトロに溶けてジュワジュワ音をたてるチーズの乗せられている。ウホッ!いい焼き色!


「いただきまーす!」


大きくかぶりつくとドロリとした舌触りと濃厚な塩気と旨みが溶けだしたチーズから滲み出た油が口内に広がった。


「〜〜〜!濃いっ!」


背後から目線を感じるがどうせレタだろう。横ではマンゴーがフレッシュな野菜に舌つづみをうっている。


「にしてもここまでくるの大変だったでしょ〜?」


気さくな食堂のおばさんが話しかけてきた。ムムっと雅の目が光る。


お、雅があの質問をしてくれるのか!とコミュ障の出る幕がなさそうなことにほっと胸をなでおろした。


「このボール美味しいですっ!」


「は?」


思わず口に出してしまったがどうやら一瞬でおばさんの会話相手は雅に移ったようで、嫌な顔はしなかった。


「あら嬉しい!美味しそうに食べてくれる人少ないから...作ったかいがあったわ!」


流石おばちゃん、不人気なのを見事にさっとオブラートに包見込んだ。


「えー!信じられない!」


多分この場にいるほとんどの人が「お前が信じられねぇよ」と思っていることは容易に想像できる。


「(え、何この()...これはお世辞ではないわよね、でもこれ恐ろしく不味いのに...はっ、まさか...!この隣の男が無理やり食べさせたとか!?)」


おばちゃんの俺を見る目が完全にドン引きしている。あらぬことを考えられていることだけは察知したので全力で首を振った。


マズイ...空気が完全におかしなことになっている。普段凛とした顔の雅が満面の笑みで永遠とボールを食べ続け、おばさんは飛躍的すぎる思考回路と想像力がフル回転して混乱し始めている。そんなに不人気なのかよこのボール!?


「おばさん...ここ数日で天気変じゃなかった?」


「ん?あぁ昨日ね。勇者様が来てくれたから驚いてすっかり忘れてたけどあれなんか3時間くらいかしらね?周りの天気や地形がすっかり変わっちゃって〜!あんなの初めてよ?真相は不明なままなのよね〜調査しようがないしその間外出禁止だったけど幸い被害は無かったわ」


ふむ...つまりあそこでのターゲットは俺たちだったわけか...


「モゴォ!モゴゴゴッ!(関係ないわ!私にはこのボールさえあればかつる!)」


これがかのレアとされる雅ジョークだが、(レタに翻訳してもらった)内容が物騒すぎて困惑するしかできなかった___






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