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平和の訪れと新たなる幕開け

今回やっと悪魔が討伐できたのでヒビキがボケ倒すことが予想されますが、どうか生暖かい目で見守ってあげてください。


「さて、この悪魔をどうするべきか」


不死身レベルの再生力で苦しみながらも永遠とここで生き続ける可能性がある。ここでかっこつけて決めゼリフだけ残して立ち去ると後々悪用されて面倒なのが目に見えている。


『ボックス回収業者の出番だねっ!』


マンゴーがポシェットから空きのガラス箱を出し、ゴソゴソいじると悪魔はあっという間に吸い込まれてしまった。


マンゴーにうながされて悪魔の入ったオレンジ色へと変化した箱に触れ、耳に当ててみた。ほんのりと温かい箱から小さくではあるが悪魔の叫びが聞こえてきた。


『暴れられると箱が壊れちゃうから無力化したときに限るんだけどね。色々圧縮しても死なないように保てるの!出したらサイズは戻るけどしばらく使いそうにはないね。』


そう言いながら悪魔の叫びを聞きながらも顔色一つ変えることなくそっと道具袋にしまい込んだ。


なんだろう...このマンゴーのSでもMでも無い穏やかさ。ただ悪魔の回収は決定事項のようにあまりにスムーズで無慈悲だった。


「ソールちゃん起きて!」


「ソール...ちゃん...?」


「村人からの軽いあだ名みたいなもんよ。この人村のおばさん達と仲いいからこれで呼ばれたら大体は即座に反応するの。ソーンちゃん起きてくれないと運べないわよ!」


雅くらいの力があれば軽く運べる気もするが、これは黙っておこう。実際ソールはムッキムキだから超重そうだ。いやでもまぁ二人がかりなら...


そんなことを考えていると雅はマンゴーを連れいてった。そしてまさかのソールの逞しい胸の上に乗せて跳ねるように依頼した。


びょいんびょいんびょいんとかなり勢いよく跳ねるマンゴー、起きた瞬間に機嫌がクソ悪かったら握りつぶされてしまうかもしれない。


「ちょっとマンゴーちゃん!よしなさいっ!よそ様の胸の上でっ...」


「ん...うーん...」


『わわっ!起きたっ!』


驚いてドスッと転げ落ちたマンゴーと入れ替わるように雅が抱きついた。なんと涙ぐましい感動シーンだろうか。その場所が場所でなかなかに臨場感も現れている。


「お兄ちゃん!よかった!もう会えないかと...」


「おお!雅、心配かけたなぁ...」


俺はマンゴーが潰されることがなかったので一安心。


「マンゴー、こっちこっち!お楽しみタイムだぞ!」


宝物庫らしきものを発見しておいた俺は2人の感動の再開シーンをよそに悪代官のような顔になる。もちろんあの2人には見せない裏の顔だ。


『おぉヒビキ社長!こんな所にお宝箱が!』


宝箱が3つ並んでいる。レタから魔物の反応がないことを確認するとさっそく手をかけた。


「ほほほ!私笑いがとまりませんぞ!ほ〜れギギいっとな!」


二人一役で某ゲームのある人を演じてみたが薄暗い洞窟の雰囲気とピッタリでなかなか楽しかった。


「こっ、こりはっ!?カプ...じゃないや、財宝でせう。」


『社長!こちらには意味ありげなドラゴンの石像がありましたよ!』


「最後に出たのは意味ありげな馬の石像でせう。」


『社長、さすがにそのキャラは...』


「だめなのですぅ〜?タヌキなおじさんの方でもいいのでせう〜!」


『・・・』


「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ごめんごめんマンゴーぢゃぁん!引かないで!見捨てないで!」


*****


「なんで泣いてんのよ...」


「雅ぃ”...」


例のごとく表情が【無】で固定されたウサギに抱きつく勇者は勇者とは思えぬ様子だ。こんなんがよく魔法なんて使えるなとつくづく自分でも思う。


「紹介するわ。この人が私と一緒に旅をしてくれたヒビキよ。」


「どうも桜がお世話になりました。」


「あっ!ああっ...い、いえ、な、なんと言いますかこ、こちらこそ...おっ、お世話になっております...」


急に話しかけられてコミュ障が発動。雅はなぜか大丈夫だが、大人や男や年下や今どきの女子高生にはもれなくコミュ障が九割九分発動する仕様となっている。


「宝探しも終わったんでしょ?」


『色々見つかったよー!』


「じゃ、帰りましょうか。」


******


かなり時間が経っていたので時短のために全員にprestoをかけてみたのだが、体が軽すぎて何度も転びそうになった。前方には2人と1ウサギが忍者のようにシュタタタタと移動している。まぁ魔法のおかげもあってかなり早く出口に到着したが、結果俺だけは倍疲れることになった。


主を失った黒影屋敷は消滅しており、地下洞窟だけが残り、それも俺たちが抜けた瞬間に認識阻害でただの土と化した。


空を見上げると夕陽が綺麗に映えている。ちょうど森の半分は影に入っているが、どこかしら森も明るさと生命力を取り戻したように感じた。


数日前には赤々とした夕陽を毒々しいザクロのように感じて愁哀感を感じたが、今日は何気なく神秘的に感じることができた___


*****

なんでこうなった...


ボスタル村に到着すると全員が風呂に入ることになったのだが、流石に雅と入るのは無いと思っていたが何故かお兄さんと入ることになってしまった。


気まずい空気が流れるかと思いきや、ソールさんはコミュ障とは正反対な人物だったようで、ワイルドさを併せ持ちながら優しく会話してくれる『乙女マンガの生徒会長を異世界で農民生活で鍛えてみた』風の人物だった。てっきり「桜に手ぇ出したらぶっ殺す系お兄様」と勘違いしていたので、怯えていたが、なんだ、いいお兄さんじゃないか。


いい気分ではあるのだが隙あらば最後にマンゴーと一緒に入ってやろうかと企んでいたので、その点は少し残念だった。因みにマンゴーはというと何故か大きな桶を持った雅に連れていかれた。


マンゴーは一応暫定男なのだが、男であろうが女であろうが全く動じないようだった。本当にボーイなんだろうか?


そういったアクシデントが入りながらも一晩はあっという間に過ぎた。例のボールも食卓に上がったが、皿には最後まで残って結局はお兄さんといっしょに2人共半分青ざめた顔で大量に平らげる雅を見つめるはめになった。


〜朝〜

「さて、俺はやることが無くなったわけだ...〜完〜」


『んなわけないでしょー!』


レタが何やら次の司令も出してくるようだ。勇者はつらいよ。でも、現実よりかは...ね。マシだと思えるようになったんだ。


そして心強いことに勇者のパーティーに正式に雅が加わることになった。


村長は人柄で選ばれたソールが引き継ぎ、バリバリ《力仕事》もこなしながら村にとどまるようだ。焼かれた村も旅人や近辺の村人によって少しずつ復旧する予定で、ボスタル村の配達屋は別の少年が引き継ぐ。新村長は弟子ができたと喜んでいた。


「そーいえば...」


雅が思い出したように切り出してきた。


「貴方の上の名前を聞いていなかったわねぇ!」


やっぱりそう来たか。まったく油断も隙もない。


「うっ、えーっと...」


「何照れてんのよ!もう、笑ったりしないからぁ!」


笑われるわけではないし、気に入っているのだけれども、あまりにも自分らしさが現れていて、話す度に自分で変な気分になってしまう。


「あぁもう!明日音 日々輝あすのね ひびきだよ!」


「あら、まさに貴方らしい名前って感じね!」


「う、うん。ありがと...う?」


あっ、そうか。普段は大概変わった名前だと言われるのだが、雅は俺が演奏が得意だってことを知っているんだな。


遠い記憶の彼方の幼い彼女の一言と同じで、なんだかムズ痒い気分になってしまった。


「あっ!やっぱり照れてる!」


「う、うるせえっ!」


異世界に入ってマンゴーやレタ、雅にお兄さん。と助け合う関係の色々な仲間ができた。どうやらその関係になる予定の人はまだまだ居るらしく、俺の冒険記はまだまだ終わらせてくれそうにない。


でも...まぁ、俺も終わらせるつもりもない。勇者を全うし、自分の居場所を見つけるその日までは___

これにて2章完!次回から3章を投稿していきます!

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