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ボスタル村

猿騒動が去り、猿達が目覚める前に一同は丘から移動を開始した。といってもドーム状の木々一本無い方向からの丘は滑り降りるのが1番楽だ。後方には猿達が現れた森が広がっている。



『おほーっ!サラサラで痛くなーい!』



服を着ていないマンゴーはレタを尻の下に敷いている。



「なんかこう...やけにリアルだな」



バーチャルではないぶん、5感はフルで働くことが可能なようで、本当に別世界へと引き込まれたんだなぁと改めて感じた。何もせずにいれば眠くなるし、お腹も空くし、トイレにも行きたくなる。そして運動神経も相変わらずクソのままである。



「(クソっ、そこらは細かいんだな...)」



だが現実世界と同じように動けるのは”現実世界らしく居られる”ということだ。人らしさを失わずに済む。俺TUEEEEで突っ切る可能性は減る。



だがこの世界で厄介なのが”復活できる”という点だ、俺の能力である蘇りと同じ。今は確認できていないが、いずれ敵にも絶対そういった類の能力を持つ者が現れるはずだ。そういった類ものはややこしく、煩わしいに決まっている。杞憂で済めばいいんだが...



そうこう考えていると丘の麓が見えてきた。というかそもそもどんだけ高いんだこの丘。これだけ1人で考え込んだのにまだ続くのか。



「キミ難しそうな顔してるね。何か悩みが?」



そう問いかけてきたのはさっきの助けを求めてきた女。ここは普通ロリとかロリっぽい見かけの女性が来てウハウハルートの可能性もあるんだが、そうはならなかったらしい。スラリとした身長と体格、長く伸びた紙は真っ黒でさらさらと風になびかせ、さっきの取り乱した感じは一切無く落ち着いてうっすら微笑んでいる。



なんでもないという作り笑いを返して前を向いた瞬間、地上へとやっと足が付いた。



「うおっ」と変な声を出して勢いのあまり前へと転がる。



マンゴーと女は身軽に着地し、僅かに付いた土埃をパンパンと払った。



「そういえば私の名前がまだだったわね。私は夜桜(よざくら)(みやび)。村人からはみやちゃんと呼ばれているわ。よろしくね。」



そう言って握手を求めて差し出された手はネイル等で飾られてはいないものの、細い指と輝かんばかりのツルツルの綺麗な縦爪だった。こちらもぎこちなく応じる。



「俺はヒビキだ。よろしく頼む。」



『ボクマンゴー!』『私はレタよ。』



さっと全員の紹介を終わらせたところで、雅の住む村に行って旅支度をしたり、凶暴化した猿のことについて尋ねたりすることにした。



・・・・・~勇者移動中~・・・・・



「はいここが私の住んでる村、ボスタルよ。」



the村だ。あーRPGっぽい。

とりあえず村長のキジジという方に会うことにした。



「ふぉっふぉっふぉっ、遥々遠くからよう来なさったな。」



「(へー『ふぉっ×3』って話し始める人は実在したのか...」



笑顔で村長と挨拶しながらそんなことを考えていると、雅が猿騒動を報告した。



「ふむ...実は混乱を防ぐために黙っていたのだが、近隣の村は魔物にかなりの被害を受けているんじゃ。畑をめちゃくちゃにされた村もあれば魔物に火を付けられて完全に焼失し、多くの命が奪われた村もある。」



話を聞くなり、なにかにこらえきれなくなったようで唐突に雅が叫ぶ。



「ジジ様!なぜそのような事を秘密になさったのですか!」



「落ち着け、そんなことを村人に言って少しでも混乱させてみろ、魔物の思うつぼじゃ。」



「でも...」



何かを言いたそうになぐっと雅は歯を食いしばる。だが次の言葉で力が抜けたようにだらんとしてうなだれた。



「お主が心配しなくてよいことじゃ___」



半ば強引に追い出されてしまった。



自分の村の住人に対しての反応としてはやけに冷たかった。かなりショックだったのか雅はうっすらと涙を浮かべている。



「ジジ様は最近不安になっていらっしゃるんだわ。理由がやっと分かった。近隣の村が魔物の被害を受けているんだもの...」



「『最近は』?前は違ったのか?」



「えぇ、気難しくなられたのはここ数ヶ月よ。それまでは村民からの信頼も厚く、皆の意見に耳を傾け、拾われたよそ者の私を孫娘のように可愛がってくれたの。」



雅は辛そうな顔をして一瞬沈黙したがこう続けた。



「実は...私はちょうど4年前の今日の朝方、気がついたらこの村の前で倒れていたわ。自分の年と名前以外の記憶を無くしてね。」



ヒビキは歩きながら黙って耳を傾けている。彼女には彼女の苦労があるのだ。むしろ自分よりひどい境遇だったのかもしれない。



「ボロボロの服で無一文だった私を救ってくれたのは5つ上のソールという青年で、ソールの家の1部屋を余っていたから私にくれたわ。ほら、この家よ。」



一同の眼前には他の家と何ら変わりないレンガ造りの二階建ての家がそびえていた。

やはり悪者さまっ!の癖で敬語を使うと「〜ですわ」で書いてしまう。これは『ババア(セーネア)病』に違いないですわ!


おや?こんな夜更けに誰か来たようで___

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