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魔法師Mの物語  作者:
第二章 記憶喪失と兄妹関係
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雪村と遊園地

騒動から一週間が過ぎた頃、けがも思っていたよりも早く回復してほっとしたのだが・・・けがよりもまったく回復していないものが彼女にはありました。


 あれから雪村は機嫌が悪くなっていた。

 「あんた、魔法があるんだからちゃんと使いなよ。僕が来なかったら死んでたよ?わかってるの?」とか


 「そもそも黙って行かないでくれる?夜見先輩が愚痴ってくれなかったら今頃あの遊園地、あんたらと他の一般人巻き込んで火の海にしたかもよ。火は噴いてなかったけどね!」などと心配しているのかは分からないが、私に対して言い放題していた。

 

 そんなある日のことである。

 いつも通り、二人で研究所まで帰る途中に雪村が話しかけてきた。


 「あの遊園地、来週から運営再開させるってさ」と急に言うものだから


 「えっ?遊園地って?」と聞いてしまう。

 「あんた、もう忘れたの?この間、橋屋先輩と行った遊園地だよ」

 頭大丈夫なの?先生に頭見てもらった方がいいんじゃない?と付け足して言う雪村。

 

 そこに関しては言いたいことがあったがとりあえずしまっておいて話を続ける。

 「でもどうしてそんなことを?」


 「あんたらの後ろ付いてっただけで、ろくに楽しめなかったからに決まってるでしょ?

 あんたらだけだよ、楽しかったのは」とこれまた嫌みをぶつけられる。

 

 「あぁ・・・だから、ついてこい。と」

 そう言いたいの?と聞くと「そうだよ」と変な顔をされた。

 「でも、それなら沼口先輩と一緒にでも・・・「はぁ?!なんであいつと行かなきゃいけないのさ?!それとも、僕と一緒に遊園地に行くのが嫌なわけ?」

 

 「いや。そんなことないよ」

 「じゃあいいでしょ?来週の日曜日に行くから予定空けといてよ?」

 「うん・・・わかった」

 

 それから、研究所に戻ってすぐに雪村と別れて力輝は自分の部屋へと戻り勉強の予習をしているとガチャンと部屋に入ってきて「許可取れたから」とそれだけ言って部屋から出て行ってしまった。


 どうやら工藤さんに話して許可をもらったらしく、それをわざわざ伝えたというわけである。


 

 そして、あっと言う間に約束の日曜日になった。

 いつもの時間に起きると、ガチャン!と扉の開く音がして雪村が姿を現した。


 「あんたまだ支度してないの?ほら。ぼーっとしてないでさっさと着替えて支度して」

 勝手に台所使うよ。と部屋からさっさと出て行った。

 

 着替えと準備を整えて台所に行くと雪村が簡単な朝食を作っていた。

 「はい。トースト!」

 「ありがとう」

 起きてすぐに来たのかちゃっかり自分の分も用意していた。(トースト・コーヒー)

 

 「あんたのんびりしすぎ。時間なんてあっという間に過ぎるんだからさ」

 「ごっ、ごめん」

 「いいから、手を動かす。そろそろ出ないと人混むから」

 「あっ、うん。ごめっんっ・・・っ?!?」

 食べながらしゃべったのでのどにつまって苦しくなる。

 それを見た雪村は「あわてるなよ。はい、これ飲んで」と力輝のコーヒーを渡し、力輝はそれをごくごくと飲む。


 「っはぁ・・・たすかった」

 「・・・あんた。やっぱりそのままでいい」と飽きられてしまった。

 「ごめんね」


 力輝は申し訳ない気持ちで謝る。

 「ほら。食べたでしょ?食器貸して。洗うから」

 「あっ、ありがとう・・・」

 

 兄っていうより・・・お母さんみたいだな。と力輝は思ったのでありました。

 

 数分後、二人は研究所を出て駅へと向かう。

 駅からは歩いて約10分で到着し、切符を買って改札を通してホームへ。

 

 「人が多いから離れないでよ。後々面倒だから」

 「うん。わかった」

 

 (アナウンス)

 「まもなく3番のりばに~7時13分発○○行きが参ります~」

 電車に乗って約1時間、○○駅で乗り換えて■×まで約30分で目的地へと

 到着した。

 

 「あぁ~やっと着いた。結局座れなかったな~」

 「少し休憩する?飲み物買ってくるから待ってて」と力輝が自販機のところまで走る。

 

 すると

 「ねぇねぇ君、一人なの?」

 「よかったら俺達と遊ばない?」

 「いえ、一人じゃないです。これから遊びに行くのでできません」

 「えーいいじゃん。あそぼーよ」

 「嫌です。手を離してください!」

 

 「なに大声出してんの?」

 「あぁ?誰だお前?」

 「雪村っ」

 

 様子を見ていた雪村は男2人を無視して力輝の腕を掴んでいる男の手をぐっと

 掴んだ。

 「つめたっ!???」

 

 男はあまりの冷たさに手を離してしまう。

 「なんだこいつ。すげぇてがつめてぇ!?」

 冷え性と言うレベルを超える強烈な冷たさで、男の手は真っ赤になっていた。

 

 「あぁ~僕このお茶嫌いなんだよね~っまぁ、いっか。さっさと行くよ」と男をスルーしようとするもそうもいかず。

 

 「おい、てめぇ!?うちのダチになにしやがった!?」

 「はぁ?別になにもしてないけど?言いがかりつけるのやめてくれる?」

 と雪村は堂々と喧嘩腰。

 

 「この野郎なめやがって!」と男達が雪村に殴りかかろうとする。

 雪村本人は逃げることもなく男にデコピンを食らわせる。

 

 「いてっ!?」

 「このっ!??」と二番めの男が交代で攻撃しようとするがこれは右手で受け止める。

 すると「うわぁ、つめてっ!??」と相手は思わず離してしまう。


 二人で一斉にしかけようと少し距離を取り勢いを増して狙おうとするが、持っていた

 お茶のペットボトルを開けてそれを地面にバシャッ!とかける。


 力輝は彼の行動がよく分からなかったが、それは次第に凍って行き・・・

 そうとも知らず雪村のトラップにはまって男どもは滑ってこけてしまった。


 思いっきりだったためか、力尽きている状態で男どもは戦闘不能。

 動こうともしなかった。

 

 「ほら、さっさといくよ」

 「うん」

 こうして彼は妹を守ったのでありました。


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