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魔法師Mの物語  作者:
第二章 記憶喪失と兄妹関係
74/222

雪村真の悩み2 彼女に直接聞くけれど、それは本当の意味なのかは知らない。

雪村が美咲さんに相談した翌日の話である。

 いつものように少し早く起きた雪村は研究所まで足を運び、彼女の部屋へ。

 

 ガチャン。と扉が開かれて、彼女が現れる。

 「あっ、雪村。おはよう」

 「おはよう・・・って、なに?その頭?」

 挨拶したはいいものの、彼女の前髪がピンと立っていた。

 

 「あぁ・・・ちょっと寝癖ついたみたいで」と恥ずかしそうにピンと立った前髪を手で押さえる。

 

 「今日、工藤さんは?来てなかったの?」

 「朝食作ってすぐに呼び出しされたみたいで、『悪い、俺はもう行く!』って走って行ったよ」

 「大変だね」

 

 教育係やいろいろと。

 他の人にやってもらえばいいのに。とそう思いつつも工藤さんらしいなと思う雪村であった。

 

 「友達にピン止め貸してもらいなよ。それで前髪止めれば大丈夫だと思う」

 「あっ、うん。わかった」

 

 研究所を出て学校へと向かう途中に同じ学校の制服を来たカップルがラブラブに登校するのを見てしまう。

 

 うわぁ~なにあのカップル。と雪村は若干引いていた時だった。

 「すごく仲良しなんだね。あの人たち」

 楽しそうに話しながら腕組んでる~とそんな彼女に雪村は・・・


 「えっ?そっ、そうだね」

 

 ここで雪村は驚いていた。間違いじゃないけど・・・なんだろ。こいつが言っている仲良しってちょっと違うような・・・。LOVEじゃなくてLIKEの意味で。

 

 「あのさ」

 「ん?なに?」

 「あんた・・・橋屋先輩ってどう思う?」

 ここで昨日の美咲さんのことを雪村は思い出す。さりげなく聞いてみることにした。

 

 「どうって、ふつうに・・・優しい人?」

 「・・・そう」

 「どうしたの?」

 「いや。別に・・・気にしなくていいよ」

 それを聞いた彼女は・・・

 

 「雪村は?橋屋さんのことどう思う?」と質問を返す。

 「嫌いだよ。変なこと聞かないでくれる?」

 思い出すだけでいやだ。と機嫌が悪くなってしまった。そんな彼を見て彼女は

 「ごめん」と謝った。

 

 「じゃあ・・・夜見さんは?」

 「あの人はふつう」

 「美咲さんは?」

 「まぁまぁふつう」

 「工藤さんは?」

 「好き」

 そこは好きなんだね。と彼女は思った。

 

 「じゃあ、私は?」

 「・・・・」

 すると、なぜか黙り込む雪村。それを見て彼女は

 「ごめん。言いたくないならいいよ」と慌てて違う話をしようと持ちかけるが・・・

 

 「あんたはどう思ってるの?」

 「えっ?」

 雪村は聞く。彼女はびっくりしていたが、少し黙り込んだ後に「好きだよ」と彼に返した。

  

 その言葉を聞いて雪村は思った。

 

 彼女が記憶を失わず、僕達が実の兄妹だという真実を知っても

 こんなふうに一緒に歩いたり、話したりできただろうかと。

 それでも、こうやって素直に「好きだよ」と言ってくれるのかと・・・・

 

 「ふーんー」

 「えっ・・・おかしい?」

 不安なのか、恐る恐ると聞く彼女。

 

 「別に。おかしくないんじゃない」と雪村は答える。

 「早く行かないと学校遅れるよ」

 「あっ、うん」

 

 

 その夕方。研究所で雪村は美咲さんと遭遇し、彼女に聞いて来たことを報告したのでありました。

 

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