同時に届いた手紙
放課後の事。監視から護衛に変わった雪村は、並んで一緒に帰るということに
なったので、今度は私が2年の教室まで授業・または掃除が終わったあとに迎えに行くようになりました。そのため沼口先輩とも仲良くなる。
「お邪魔します」と人が少なくなった2年の教室に入るのも慣れてきた。
雪村と沼口先輩は、なにか本を読んでいた。
「何読んでるんです?」
「見てわかんないの?漫画だよ」
相変わらずの辛口なお言葉が降り注ぐ。
彼も漫画を読むんだ。と私は思っていると「言っとくけど、僕のじゃないから」とまるで心を読んだかのように返される。
となると、沼口先輩のものになるのか。
「えっ?これって・・・」
よく見てみると、その漫画の内容が・・・少女漫画だった。
「沼口の妹の少女マンガ。勝手に持ってきたんだと」
「怒られないんですか?」
「大丈夫だって」
「っていうか、なんでこんなもの持ってきたわけ。よく担任に見つからなかったよね」
それはそれで怖い。
「雪村に見せたくって持ってきたんだよ」
「まさか本気で持ってくるなんて思っても見なかったけどね」と雪村はあきれ顔で呟く。
「力輝ちゃんも読む?おもしれーよ」
沼口先輩に勧められて「えっ。あっ、はい」と手に取りぺらぺら~と読んでみる。
「少女漫画なんて初めて読んだけど、こんなのどこが面白いんだかね」
「そうか?俺は読んで面白かったけどなww」
「うわぁ~ひく~」
「なんでだよwww」
と、語り合っている間に私はその漫画を読んでしまう。
「ありがとうございました」
「「えっ?」」
「もう読んだの?」
「はい。面白かったです」
「いくらなんでも早すぎない?」と雪村に言われる。
「そうかな?あっ、このシーンとかすごく良かった」
「どれどれ?」と興味もない雪村が漫画のページを覗き込む。
『靴箱に手紙が置いてある。・・・誰だろ?』女の子は手紙の裏を見るも名前がない。
それを確認し、中を見る。
『これは!?ラブレター!??』
「今時、そんなのあるのかな?」
「でも、あったら素敵じゃない?」
「女子だけだよそんなの」
雪村にあっさり否定され、私から漫画を奪い取り「沼口、返す」と本人に漫画を返却。
「さぁ。帰るよ」
「あっ、うん」
「俺も!」←あの日以来、鞄を所持して遊びに来ている。
と、それから数週間が過ぎたころだった。
いつものように下駄箱を開けると・・・「えっ?」
なんと、上靴の上に―――手紙が置いてありました。
私が驚いているその頃、彼も
ガチャ。「ん?・・・手紙?」
彼の下駄箱にも――――手紙が置いてあったのでありました。




