監視と護衛とどう違うのだろうと疑問に思う女子高生
翌日の朝6時。
一人の少年がある部屋を訪れて、鍵を差し込みガチャンと扉を開ける。
「・・・んっ」物音で目が覚め、ベッドから起き上がった私は台所へと足を運ぶ。
すると台所に人影が・・・「あっ、起きたんだね」とそこにいたのは雪村であった。
わけがわからず、「なに、してるの?」と聞く。
「見て分かんないの?朝食だよ。ほらさっさと着替えて用意してきて」
雪村は私の背中を押して部屋へと戻した後、ささっと台所へ向かった。
「これは、いったい・・・」
とりあえず。制服に着替えて顔を洗ってと準備を済ませて台所へと入ったら、雪村は朝食をテーブルに置いて待っていた。
なんだろう。この違和感は・・・。と思っていたら「なにぼーっとしてるの?食べなよ」と雪村に
言われあわてて椅子に座って「いっ、いただきます」と朝食を食べる。
「美味しい」
「トーストぐらい誰にでも焼けるでしょ」
「そうだけど・・・」
「それより、早く食べちゃいなよ」
「うん」
といってもまだ6時30分なんだけど・・・。
それから数分後に部屋を出て学校へと向かった。
「今日は・・・後ろじゃないんだね」
「そうしたいんだけど」
「?」
「監視から護衛に変わったから、出来る限り側についてろってさ」
それって、どう違うんだろ?と思ったけれど、ここはあえて聞かない方が良いと思った。
「言っとくけどこれも工藤さんに言われたってだけだからね。勘違いしないで」
「うん。わかってるよ?」
「・・そっ。だったらいいけど」
「??」
しばらくして学校へと到着した後、「僕は2年の特進だから、帰る時はそこへよって」と
下駄箱で雪村と別れた。すると、後ろから「工藤さん」と声を掛けられる。
「おはよう。身体大丈夫?入院したって聞いたけど」
「うん。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「それなら良かった。みんな心配してたんだよ。ねぇねぇ、さっきの人ってストーカーだよ
ね?一緒に歩いて来たの?」
「えっと・・・」
雪村と別れる前にこう話していたのを思い出す。
「あとそれから。僕、学校内じゃあんたのストーカーだって噂が広まってるらしいけど。
僕は仕事で監視してただけで決してストーカーじゃないから。それと、クラスメイトとかに僕達のことを聞かれたら、なんとかごまかしておいてね」と言われていたのだ。
「たまたま話すことがあって途中から一緒に来たんだよ」
「そうなんだ。でも気を付けてね。最近物騒だから、何かあったら相談してね」
「うん。ありがとう」
・・なんとかごまかせただろうか。とこの時はほっとしていた。
が、南條さん。だけでなくほかの人も目撃してたわけで・・・
放課後、掃除が終わってすぐに2年特進の教室へと足を運んだ。
2年の教室はたぶん初めて行くのかな?と思いながらも特進の教室を探した。
「ここだ。えっと・・・あっ」
教室の左端、一番前の席に雪村らしき人物がいた。しかし、ほかに人もいるし、勝手に中に入るのも、と思っていた時だった。
「雪村、彼女が来てるぞ」と近くにいた先輩が雪村に大きく叫んだ。
「あっ。ごめんなさい」
私はびっくりしていたがとりあえずお辞儀をする。
「そうびびらなくてもいいって。入りなよ」と外見によらず良い人っぽいと思った。
夜見さんに似たような人で、世の中は狭いとも思うほどに・・・。
「お邪魔します・・・」
お言葉に甘えて教室の中へと恐る恐る入って行った。
「もう少し待っててくれる?日直なんだ」
「あっ、うん。じゃあ外で・・「ここで待ってろよ。すぐ戻ってくるだろ、雪村」
「でも・・」
「沼口の言う通り、ここで待っててくれる?外だと余計に目立つしね」
「目立つ?」
どういう意味だろう?と思ったとき、その疑問はすぐとける。
「みんな噂してるからな~。ここにいた方がいいと思うぜ」
「じゃあ、職員室行ってくるから沼口悪いけど頼める?どうせ暇でしょ?」
「暇ってお前なぁ~まぁいいよ。任せとけ」
「それじゃあ」
雪村は日誌を持って職員室へと向かうため教室を出て行った。




