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魔法師Mの物語  作者:
第二章 記憶喪失と兄妹関係
51/222

彼が彼女に想うこと、これから先のことよりも大切な物

黒井博士は、工藤さんたちによって身柄を拘束。

 そしてしばらくの間研究所へと連行された後、最終的に警察の魔法取締り科へと引き渡しされたという。

 

 工藤さんから話を聞かされた私は、「どうして。最初、研究所へ?」と質問をした。それに答えたのは工藤さんではなく、雪村だった。


 「警察だけじゃ頼りないからね。それに、あんたのこともあるから直接本人をこっちで取り調べた方が、引き渡した後にわざわざ警察まで出向く必要もないからね」 

 「なるほど」

 「知っているとは思うが、彼の逮捕によって報道はこの話ばかりだ。今までどこでなにをしていたのかも気になるところだが、その前には彼が犯した罪がどうなるかだ」

 「どういうことです?」

 言っている意味がよく分からなかったので私はまた質問をする。

 そしてまた雪村がこの質問に答える。工藤さんに向けている目を雪村へと向ける。


 「あんたは覚えていないかもしれないけど。博士は施設関係者を殺害させたり、当時いたあんたを含む施設の子供達を誘拐して実験の材料・記憶消去・人体改造(力輝のレッドアイ)を行ったんだ。これで軽く懲役10年とか30年とかの軽い刑罰じゃすまされないと思うよ?あれから何年か経ってるけどまだ時効は成立してないだろうからね」

 「雪村の言う通りだ。彼がした罪はとても重いからな。それだけでは済まされないとは思う。それを決めるのは裁判だが、恐らくこれも報道されるだろう」

 

 ニュースはほとんどこの話でもちきりだった。

 黒井博士の逮捕により、当時施設の利用者(犠牲になった子供達の親族)が警察へと押し寄せたという騒ぎになったという。

 

 「それで。彼女の記憶は取り戻せないんですか?」

 「残念だが・・・『僕はね。過去に行かせたり、記憶を消したりはできるけど、元には戻せないんだよね~』と言われてしまってな」

 「今の魔法医学ではどうにもならないんですか?」

 「残念だが、それはできないらしい」

 「・・・そうですか」

 「雪村・・・」

 「大丈夫です。もう慣れましたから」

 

 何に慣れたのかよく分からないが、記憶が曖昧な部分も多いし、何より雪村の記憶がほぼないと思われる私が見た彼の表情は、落ち込んでいたと思われる。

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