記憶喪失
私は気を失った後、救急車で魔法医学病院へと運ばれた。
医師によれば、過去の記憶消去と今回黒井博士による過去を辿ったことが原因で脳が整理できず、その結果ショートして気を失ったということらしい。
「このままなんでしょうか?」
「わからない。命には別状はないとは言ってたが、このまま目が覚めないという可能性も」
「なんとかならないの?工藤さん」
「そうだよ。これじゃあ力輝ちゃんがあんまりっすよ!」
「俺だって、なんとかしてやりたいよ!」
「すんません・・・」
「ところで雪村は?」
「今、先生んとこいんよ?」
「まさか・・あの二人が兄妹だったなんて。信じられないけど」
雪村は見てきた過去をすべて話し、自分たちは兄妹だと明かした。
自分自身も信じられなかった。まさか彼女が妹だなんて
「目が覚めたとしても、今までの記憶が消えてるかもしれません。辿った記憶も気を失ったショックですべて」
「・・・そうですか」
「気持ちの整理がつかないとは思いますが、支えてあげてください」
「・・・はい」
できたら自分も記憶をなくしたいと思った。
けど、それを皆が聞いたら怒るだろうとも・・・どうしたらいいんだろ。
医師の話が終わって病室の方へと戻ると
「あっ、雪村!力輝ちゃん、目が覚めたよ!」と美咲さんがひっぱっていく。
すると
「・・・」
目を開けて起き上がっていた。
上手く話せない。どうしたら・・・
「力輝、分かるか?」と工藤さんが変わりに聞いてくれた。恐らく雪村がいいづらそうに
しているのをみたからだろう。
「くどうさん・・・」
「・・・はしやさん・・・よみ、さん・・みさき・・さん」
「・・・・だれ?」
「「「「っ!???」」」」
「力輝、思い出せ。雪村だ、お前の実の兄だ。思い出せ」
「工藤さん、落ち着いて」
美咲さんがあわててフォローにでる。
「いいんです。血がつながってるなんて今更・・・「雪村!」
「お前は実の兄だぞ。そんなことよく平気で!?」
「あぁ、お前までここ病院だって」と夜見が橋屋を止める。
「すまん」と二人は冷静さを取り戻した。
「雪村。力輝ちゃん、まだ起きたばっかりで思い出せてないかもしれない。だから気長に待とう。ねっ?」
「・・そうですかね?」
雪村は少しばかりショックを受けていた。なぜ、自分だけがわからないのか。
それだけが謎のままだった。
「力輝。焦らなくていい。徐々に思い出していけばいいからな」と工藤さんはそう言って皆と病室を後にした。
「・・・・ゆき、むら」
皆がいなくなって、病院を後にする彼らの姿を見て思わずそう口を開いていたのでした。




