教育は徹底的に
「だめだな。これは悩む」
「申し訳ありません」
学力テストが相当悪い点で、工藤さんは頭を抱えていた。
「お前を責めているわけじゃないが、今のままではとてもじゃないが高校のレベルに達しない」
「・・・・・・」
学力テストをする少し前、工藤さんからの説明があった。
「お前にはある高校を受験してもらう。そのためお前はここで俺の授業を受けるんだ。本来なら一般中学に通学して学ぶところだが、事情も事情で基礎もないまま通学して受験しても意味がない。だからお前は受験まで俺の授業を受け基礎を身につけろ」
「はい」
「といっても、俺も毎日ここへは通えないからその時は変わりに誰かに来てもらう。俺じゃないからって気を抜くなよ?しっかり受けた内容をその日のうちに復習しておけ」
「またテストを?」
「受験はあっという間だからな、この短期間の間でお前を高校合格までさせるんだからびしばし行くぞ」
「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。
次の日
ピピピピ~♪・・・・ガチャン!!
「起きろ」
バサッ!
「うぅ・・・・」と目をこすろうとする手をバシッと掴んで阻止される。
「おはようございます」
「さっさと顔洗って目を覚ましてこい」
「・・・はい」
ねぼけまなこで洗面台に向かい、顔を洗った。
さっぱりしたところで工藤さんが待っているキッチンへ
「早く食べろ」
「はい。いただきます」
今日も素晴らしき和食が・・・
「それを食べたら会議室Bだからな。しっかり噛んで食べろ、しっかりな」
「もぐもぐ・・・・はい」
「場所は分かるな?先に行ってるぞ」
「はい」
そう言って、工藤さんは先に会議室Bへと向かった。
取り残された私はちゃんと食べて食器を片づけて部屋を出た。
会議室Bへの場所は把握済みなので、すらすたと歩いていく。
人の目もだいぶ気にしなくなってきたのだが・・・・
「ねぇねぇ、そこの君~」
「??」
もうすぐ会議室Bなのだが人に突然声を掛けられ立ち止まる。
「最近工藤さんと一緒にいる子だよね?」
「はい。そうですが、なにか?」
「どういう関係なの?ねぇ、お兄さんに教えてよ」
金髪で背は私より高め。不良?のような男性だ。
これはどう対処すればいいのか、と悩んでいたら「俺の生徒に何か用か?」と
すでに会議室Bに行っていた工藤さんが後ろからやってきた。
「工藤さん!?」
「来ないと思ったらこいつに捕まっていたのか」
「すみません。声かけられたもので」
「夜見、ちょっかい出すなら他の奴にしろ。こいつはいろいろとやることがある」
「えぇ~工藤さん冷たいなぁ」
「なんならあとであいつに言っておこうか?」
「勘弁してください!」
夜見という人は、少しだけ工藤さんと話をして帰ったらしい。
私は先に部屋に行って勉強していたため話の内容は知らないが、どうやら私と関係ある?話みたい。
戻ってきた後、工藤さんは自分が使っていた中学の教科書、ノートなどを使い、授業を行った。
授業のあとに教科書を見せてもらうとどれもぼろぼろに使い古されていて、最後のページにテストの答案用紙がはさんであるのを発見し・・・・
『100点』と書かれてあったのを見て、「すごっ」と感動した。
すぐにとりあげられてしまったが・・・




