彼女が経験した恐ろしい記憶
「うっ・・・んん・・・」
気が付くと雪村は一人で地面に横たわっていました。身体を起こして立ち上がった後、服に土がついたので軽く手ではたきあたりを見渡した。
「ここは、どこだ?」
見たところ、ここは幼稚園?かどこかみたいだった。その証拠にブランコなどの遊具が置かれている。
「まことくん。お母さんが来たわよ」
そこへ建物から声が聞こえてきた。自分の下の名前と同じだからつい反応してしまったが、彼は建物へとこっそりと近づく。
なんかここ、どこかで見たような気がするな?どこだろう?
「お母さん!」
「まこと。お母さんと一緒に帰りましょう」
「うん!!お母さん」
ここって・・・施設!?しかもあれって・・・ともっと近くでのぞいた瞬間。
「お母さ・・・っ!?」
とっさに言葉を発してしまったけれど、彼女たちはまったく気づいていないようでひとまずほっとした。
あれは間違いなく、僕と僕の母親だ。でも、どうして?
僕はここにいるのに・・・
雪村はここでふと思い出した。
「僕達、過去に飛ばされて・・・ってことはあいつもここに?」
そう思いあたりを探したが見つからない。どこかではぐれたとか?正直飛ばされた後のことはまったく覚えていない。早くここから出ないと、と思っていた時だった。
「いやだ!!!」
「おにいちゃん、いっちゃいやっ!」
突然彼の服の袖を引っ張る一人の女の子が現れだだをこねる。
「みことちゃん。ぼく、来年お母さんといっしょにむかえにいくからね」と頭をなでる彼。
みこと?むかえに??
そう言っているうちに小さい彼はお母さんと一緒に帰って行ったのでありました。そして突如あんなに明るかった空が真っ暗になったのです。
「夜になったのか?なんで急に?」
バキン!!
なにかの割れる音がした。ガラスの割れる音、そのあとに「きゃあ!???」と悲鳴が聞こえてきてあわててまた建物の中の様子を見る。すると、世にも恐ろしい光景が彼の視界に入る。
「これで全員?」
「はい、博士。子供はこれで全員です」
「よし。では行こうか。子供を出した後すぐにここを燃やしてしまえ」
証拠が残らないようにしなくちゃ。とそう言い残し、博士とやらはどこかへと姿を消した。
「先生、目を開けてっ」
「えぇーん。怖いよぉ」
子供達の目の前に横たわっている施設の先生たちが転がっていて、動こうともしない。
あの博士ってやつ、僕達をここに飛ばした奴だしひょっとしてあいつが言っていたのって…。
そのあと、子供達は魔法のせいか黙って従いトラックに次々と乗り込まれ、施設は彼らが去った後、突然炎へと包まれ、あっという間に全焼。その後、彼らはとある研究施設へと連れて行かれたのであった。




