逃げ切ったのに、帰れなくなってしまった
それから約1か月も渡り、雪村真の(本人は監視)ストーカーは続いた。
本人の意思ではないとはいえ・・・
「今日もいるね、ストーカー」
「うん」
すっかりと定着というか・・・なんというか、もう慣れてしまいました。
ですが、もうクラスの注目の的になるのは荷が重たくて
「いつになればそれ取れるんです?いい加減解除しれくれないんですか?」
「前から言ってるけど聞き入れてくんないんだもん」
「・・・そうですか」
廊下だとまた教師に言われそうなので、屋上で話すことに
「あのさ。前々から聞きたかったんだけど」
「なんですか?」
「・・・あんたなんで研究所に住んでるの?」
「えっ?」
「監視してから気づいたけど、研究所の中に住んでるとかって絶対になんかあるでしょ?今の苗字だって偽名だしさ~」
「・・・」
「なに黙り込んでんの?質問に答えてよ」
「・・・」
「ねぇ、ってば!」
「っ!?」
雪村に手を伸ばされた瞬間、私は無意識にバシッ!っと手をはらってしまう。
「いたっ」
「・・・しっ、失礼します!」
その場にいるのが耐えられなくて、屋上を逃げるように去って行った。
「・・・なんだよ」
それを追いかけもせずに見ていた雪村は叩かれた手をもう片方の手で優しくさすっていた。
~放課後~
終わってすぐさま逃げるように学校から出た。
門を出て雪村が追っていないかどうかを確認する。
「・・・大丈夫。追ってきてない」
さすがにすぐには学校から出れない。彼は魔法も使えない状況だし
それからゆっくりと研究所まで足を運ぶ。
「(なんであんなことしちゃったんだろ?でも、いきなり聞いてくる方も悪いし・・・それにもう少し言い方があるんじゃないかって思うし。本当・・・なんでこんなに)」
歩きながら、そう考えていた時だった。
「ん?」
いつもの通学路を渡っていたはずなのに、ふと気が付くと知らない道に立ち止まっていた。
「えっ、さっきまで・・・なんで?」
元来た道を戻ってみようと走っていくも・・・
「戻れない。どうして?!」
いったいどうなってるの?!!!




