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魔法師Mの物語  作者:
第五章 それぞれの恋心と最終回
222/222

君を大切に

雪村は魔法力の使いすぎと前頭部の強打。

 力輝は、腹部による出血多量で意識不明の重体。

 

 「工藤さん、力輝さんは!?」←桜子

 「意識不明の重体だそうだ。このまま目が覚めない可能性もあるらしい」

 「そんなっ・・・」←桜子

 「氷浦さん」←影富


 

 ~雪村の病室~

 「僕が・・・僕が弱いせいで・・・・また」←雪村

 

 それから数日後・・・

 「真さん、力輝さんのお見舞いですか?」←桜子

 

 桜子は雪村の病室に行く前に力輝の病室を訪れると、雪村の姿が見えた。

 「あぁ。でも・・・まだ目、覚まさないみたいだけど」←雪村

 「真さん。まだご自分のせいだと思われているのですか?」←桜子

 

 桜子にはわかっていた。

 雪村は自分があの時、夜見さんを止められていたら力輝が瞬間移動することも

 彼を止めることもしなくて済んだのだ。


 「それなら私も同罪です。だから・・・自分をそんなに責めないでください。

 力輝さんがこんなことになってしまうなんて、誰しも想定していたわけではありません。だから・・・」←桜子

 

 桜子は雪村をそっと抱き締めた。

 身長の差が少しあるが、それでも雪村は彼女の行動を避けようとはしなかった。

 

 

 「桜子・・・」←雪村

 「なんですか?」←桜子

 「頼みがあるんだけど、聞いてくれる?」←雪村

 

 

 ***

 

 あれから二か月がたった。

 力輝は、レッドアイの効果でまたしても意識を取り戻して通常の生活を送れるまでに回復していた。


 「力輝、体調はどうだ?」←工藤

 「大丈夫です。先生ももうすぐしたら退院していいって言ってました」←力輝

 「そうか。・・・・じゃあ、これを渡しておこう」←工藤

 「これは?」←力輝

 「雪村への手紙だ。意識が戻ったら、お前に渡してほしいって頼まれてな」

 

 雪村は力輝よりも先に退院したと聞かされただけで、それ以来彼には会っていない。桜子も全く・・・。


 手紙を渡されて中身を読んでみると。

 「・・・急すぎるよ」←力輝

 「力輝。雪村は・・・「分かってます・・・でも、突然すぎて・・・うぅ・・・」←力輝


 涙がどんどん溢れてきた。

 目が覚めて、しばらくの間まともに動けなくて・・ようやく歩けるくらいにまで回復したところでこの手紙・・・。

 

 「氷浦に行っちゃうなんて、聞いてない。ううっ・・・うわああああああ!!!」←力輝


 

 ***

 ・・・・あれから約2年後。

 今日は高校の卒業式。力輝と南條は同じ大学へと進学することが決まった。


 「棗さん、来れなくて残念だったね」←南條

 「仕事が入ったらしくて・・・まぁ、いつものことだけど」←力輝

 「じゃあ、私はここで。またね、工藤さん」←南條

 「うん。ばいばい」←力輝


 そして力輝は卒業証書の入った筒を持って、研究所へと一人で帰って行ったのでありました。

 

 研究所の中にある自分の部屋へと入ると・・

 「ん?」←力輝

 誰もいないはずの部屋に一人の人影があって・・・「っ!?誰!?」と力輝は戦闘服へと身を包む。


 すると、人影は見る見るうちに形を変えてやがてそれは力輝の元へと吹雪のように降ってくる。


 「っ!?なにこれ!?」←力輝

 ギュっ!


 「きゃっ!?なに、やめて、離せ・・・「力輝、落ち着いて」とすぐさま抱きつかれた腕を解こうと抵抗しようとすると、なにやら聞き覚えのある声がして、力輝の動きが止まった。


 まさか、そんなことがあるはずがない。そう思っていた。

 だが、「もう僕のこと忘れたの?」と彼は力輝に問いかける。

 確信が持てなくて、力輝は彼の方へと顔を向ける。すると、その人はまさしく・・・


 「雪村・・」←力輝

 「良かった。覚えててくれて」←雪村

 忘れてたら説明するのめんどくさかったんだよね~と会い変わらずのご様子。

 変わったのは髪型と身長。長かった髪は男性っぽく短髪になっている。

 身長は力輝もあれから3センチほど伸びたがそれでも彼の背の方が断然上でありかなりの差になっていた。


 「どうして?雪村は氷浦の養子になって、桜子先輩と・・・」←力輝

 「僕そんなこと書いてないよ?ちゃんと読んだの?」←雪村

 「だって氷浦の養子に「大丈夫?この二年会ってないうちにもっとバカになったの?かわいそうに」と雪村はいたずらっぽく力輝の頭をなでる。


 「僕は確かに桜子に頼んで氷浦の養子になった。それで氷浦の修行を受けて

 桜子が持つ『氷華』の魔法を習得してやっと自由になれたってわけ」←雪村

 

 「・・・それで、何しにここに来たの?」←力輝

 「今日、高校の卒業式だったんでしょ?桜子は学校まで行って驚かせようって言ったんだけど、僕ここまで来るのに疲れたから桜子が一人で学校まで行ったんだけど・・・その様子だと入れ違いになったみたいだね」←雪村


 桜子かわいそう、とくすくす笑う彼。

 こんな表情、一緒にいた頃には見たことがない顔だ。

 なんかすごく悔しく思った。


 「工藤さんは元気にしてる?」←雪村

 「ええ。ずいぶんと忙しい生活を送っていてなかなか会えませんけどね。今日の卒業式も来るはずだったんですけど・・仕事が入って」←力輝

 「そっか。仕事なら仕方ないね。・・・あのさ、あんたに聞きたいことがあるんだけど」

 「なんですか?」←力輝


 「・・・あんた、まだ僕のこと好き?」←雪村

 「いきなりですね。・・・・好きですよ。でも、雪村はもう・・「だからちゃんと手紙読んだの

 ?そんなこと書いてなかったでしょ?」

 

 「僕はもう、あの時みたいに弱くない。氷浦家の養子になって、強くなって帰ってきたら…ちゃんと話すつもりだったんだ」←雪村

 

 雪村は力輝と正面から向き合って、力輝の目を見て口を開く。


 

 「記憶がなくなっても、ずっと一緒にいようと思ってた。もう僕には力輝しかいない。僕が大学を卒業して、一段落ついたら・・・その時は、僕の本当の家族になってほしい」←雪村

 

 力輝は彼の目線から離れられなかった。硬直状態だ。

 「これが僕の気持ち。受け取ってくれるよね?」←雪村

 「・・・はい」←力輝


 力輝はいっぱいに涙を浮かべて、雪村に抱きついた。

 それを優しく包み込むように、雪村は力輝を抱き締めて小さな声で

 「好きだよ」とつぶやいたのでありました。

 

 

 END

ご愛読ありがとうございました。

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