スパルタお菓子講座と誕生日ケーキ
休日、影富家へとやって来た力輝と南條さん。
「いらっしゃい。さぁ、入って」←影富
「お邪魔しまーす」←力輝・南條
中に入ってすぐにキッチンへと案内される二人。
持ってきたエプロンを着用し、準備万端。
「ケーキって、卵3個も使うんですね。それに使ったことない物とか」←力輝
「そうだね。ケーキには卵・薄力粉・無塩バターとかよく使うし」←影富
「ケーキ一つ作るのにこの材料と出費・・・」←力輝
「あぁ。ひょっとしてお金のこと気にしてる?大丈夫だよ。それに・・棗さんだったらそれぐらいのお金言ったら出してくれそうだし」←影富
「いや、自分で作ろうと思ったらと言う話で別に・・」←力輝
先輩は時々さらりと怖いことを言うので、南條は影富先輩にぞくっとしたのでありました。
「工藤さんの部屋にはオーブンはあるの?」←影富
「電子レンジはありますけど。オーブンはないですね?たぶん」←力輝
影富先輩はケーキ生地をオーブンへと入れながら力輝に聞く。
オーブンがなければケーキを焼くことが出来ないからだ。
「そっか。オーブンがなかったら、ケーキは焼けないんだ。電子レンジの熱だと全体まで行き届かないからね」←影富
「そうなんですか?・・・どうしよう」←力輝
「雪村君に作ってあげるの?」←影富
「あっ、いえ・・・でも、誕生日教えてくれなかったし」←力輝
「そのうち教えてくれるよ。それに誕生日じゃなくてもこれ作りすぎてあまったとか言えば、文句言いながらでも食べてくれると思うよ。彼は」←影富
「そうでしょうか・・・」←力輝
「うん。でなかったら、またあれを使って無理やり食べさせれば「それはやめときます」
南條さんは二人が言っていることが理解できなかった。
それからしばらくしてケーキが出来上がった。
影富先輩に手伝ってもらって二人でクリームを塗り、イチゴなどの果物を乗せてなんとか完成した。
「うわぁ~できた!できた!」←南條
「良く頑張ったね、二人とも」←影富
「ありがとうございます」←力輝
「じゃあ、次はクッキーでも作ろうかな」←影富
「えっ?」←力輝・南條
「君たち。ケーキ作りだけで満足しないで、もっと女子力を上げなきゃ。
でないと、この先やってけないよ?今の君達のレベルなら~」←影富
「(先輩が悪魔化した!?)」←力輝
「(ドS教師降臨!??)」←南條
それから夜まで、二人は影富先輩のスパルタお菓子作り教室を行っていたので
ありました。
そして・・・・
「雪村先輩、これ私が作ったクッキーです!」←南條
「南條。そんなに大きな声出さないでよ」←雪村
「あっ、ごめんなさい。ちょっと緊張してて」←南條
雪村は南條さんにもらったクッキーを一つつまんでぼりぼりと食べる。
「・・・ふーん。まぁ、まずくないね」←雪村
「なんですか、その感想!?」←南條
「あの、私もクッキー作りました。食べてください」←力輝
力輝は普通に話すものの、手が震えている。
「どれどれ」と力輝のクッキーの袋に手を伸ばして一つつまんでぼりぼりと食べる雪村。そして黙り込む。
「・・どっ、どうでしょうか」←力輝
「いいんじゃない。まずくないし」←雪村
「一緒に作ったのにこの差はいったいなんなんだ!????」←南條
「南條。お前は少し声のボリュームを下げて」←力輝
「私ももらっていいですか?」←桜子
「あっ、はい。どうぞ!」←力輝
「俺も二人のクッキー食いたい」←沼口
「雪村君、これ僕が作ったんだ。食べてくれる?」と影富先輩が持ってきたのは・・・いちごのタルト。
「うわっ、先輩。自分のだけ豪華!?」←南條
雪村の審査結果に落ち込んだ南條さんが復活した。
「えへへっ。僕は君達とはレベルが違うんだよww」←影富
「(なんだろ。すごく悔しい・・・)」←力輝・南條
「うまそうじゃん。先輩ちょうだい」←沼口
「雪村君が食べてくれたらね」←影富
そう聞くと雪村は・・・
「僕、いらない」と力輝のクッキーをとってぼりぼりと食べる。
「えっ、どうして!?イチゴ嫌いじゃないでしょ?」←影富
「食べれないわけじゃないですけど、僕キウイとかイチゴのあのゴマみたいなのが嫌いで。あとちょっと甘酸っぱいし・・・そんなにいっぱいイチゴが乗ってたらさすがに食べる気が失せる」←雪村
「そんなぁ(泣)」←影富
「じゃあこれ食っていい?」←沼口
「いいよ。僕の分も食べて」←雪村
「やった!!いただきまーす!」←沼口
「力輝さん達も一緒に食べましょう」←桜子
「はーい」←力輝・南條
「そんなぁーーーーーーー!!!!!!??(泣)」←影富
「(やっぱり、南條が作ったよりもあいつが作ったクッキーの方が美味しく感じる。・・・よくわかんないけど)」←雪村
~研究所~訓練を終えて力輝の部屋
「工藤さん、お誕生日おめでとうございます」←雪村・力輝
「ありがとう。二人共」←工藤
「これ、僕から誕生日プレゼントです」←雪村
「文房具?」←力輝
「バカっ。よく見なよ。・・・タオルだよ」←雪村
「タオル?」←力輝
「訓練の際に汗かくからそれにでも使ってもらおうかと思ったの。悪い?」
「いっ、いえ・・・・」←力輝
「ありがとな。雪村」←工藤
「そういうあんたは?影富先輩にお菓子作り教えてもらったんでしょ?」
「あっ・・・うん。それが・・・」←力輝
力輝は冷蔵庫から大きな箱を取り出して、テーブルの上に置く。
「(ケーキ?)」←工藤・雪村
それを思いっきり開けると・・・ケーキはケーキ、なのだが・・・・
「イチゴって結構高いなと思ったら買えなくて・・・・それで、何も飾り気のないただのケーキになってしまいました」←力輝
そう。二人の目の前に置いてあるのはただのクリームに覆われたケーキ。
力輝の買い物基準は必要不可欠な物は購入するが、とくにこれは買わなくていいと思う物にはなかなか買うことが出来ない。くだものなど自分で購入したことは一度もなかったのだ。
「確かに高いけど・・・さすがにこれは」←雪村
「力輝。包丁を持って来い。あと三人分の小さい皿も」←工藤
「あっ、はい」←力輝
力輝はすぐに台所から包丁と小皿を持ってきて工藤さんに包丁を渡す。
「どうぞ」←力輝
すると工藤さんは無言でケーキを切り始めた。
綺麗に六等分に切り分けた工藤さん。完璧だ・・・・。
そしてケーキを小皿へと分ける。しかも包丁のみで。
「(工藤さん、かっこいい)」←雪村
「あっ、フォーク取りに行かないと」←力輝
そして、フォークを配り終わってすぐさま工藤さんは力輝のケーキをパクっと食べた。
「(まさか何も入ってないケーキを食べるなんて・・・)」←雪村
「生地もふんわり焼いているし、クリームもしっかりしている。これでイチゴを乗せたらもう完璧だな」←工藤
「まぁ、僕イチゴ好きじゃないし。先輩のタルトよりはマシだね」と雪村も食べ始める。
「あっ・・・・ありがとうございます!」←力輝
「今度はイチゴちゃんと買ってこい。でないとこれはケーキというよりただのスポンジケーキにクリームを塗っただけの手抜きケーキだぞ」←工藤
「そうだよ。次こんなことしたら許さないからね」←雪村
「すっ・・すみません」←力輝




