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魔法師Mの物語  作者:
第五章 それぞれの恋心と最終回
213/222

工藤さんの力輝に対する思いは強い

力輝・雪村と別れた後、ちょうどある部屋から出てきた工藤さんに遭遇する。


 「あら工藤君。もう仕事は終わったの?」←松岡

 当然、松岡さんが声をかけないわけもなく工藤さんに話しかける。


 「いえ。まだもう一仕事残っているので、これから・・・ん?」←工藤

 工藤さんは後ろにいる二人の男子の存在に気付く。


 一番工藤さんに目を向けたのは、すぐるの方だった。

 「お兄さんが工藤さんなの?思ってたのと全然違う」←秀

 「えっ?」←工藤

 「こら、失礼だろ。秀!ごめんなさい」←駿

 駿まさるが兄の代わりに頭を下げる。


 「松岡さん。この二人は・・・」←工藤

 「そっ。この間話した子達よ。可愛いでしょ?」←松岡

 「松岡さん。15歳の男子に可愛いは失礼かと思いますよ?」←工藤

 「あら、そうかしら?でも本当のことを言ったまでだわ」←松岡

 

 工藤さんは二人のことをよく知っている。

 さっき松岡さんが二人に説明したこともすべて・・・・


 「工藤さん、少しだけ時間をもらえませんか?」←駿

 「あぁ。それは構わないが・・・何が聞きたいんだ?」←工藤

 

 松岡さんは驚いた。

 てっきり質問するのは秀のほうだと思っていたからだ。駿はどちらかというと工藤さんに恨みはない。だが、兄が工藤さんのことを良く思っていないことは事実。それゆえに、喧嘩を起こしでもしたら大変だと思ったのであろう。


 「工藤さんは、力輝さんの教育係だと聞きました。それで登録する際に貴方の苗字で登録したことも。それは貴方が決めたことですか?」←駿

 「手っ取り早いということで俺の苗字を使っただけだ。特に意味はなかったよ」←工藤

 

 「では、もう一つ。・・・工藤さんはなぜ松岡さんの告白を断ったんですか?」

 「ちょっと駿、やめて!」←秀

 秀は恥ずかしさのあまり弟に抱きついて必死で止めようとする。


 「それを聞いてどうするつもりだ?」←工藤

 「それを決めるのは秀ですが、僕は秀と同じ人間です。だから・・・聞いておきたいんです。兄の好きな女性を振った男の真意を」←駿

 

 工藤さんは駿の質問に答えることにした。

 

 「俺は当時、恋愛というものに興味がなかった。だから、松岡さんに告白された時も嬉しくはなかったし、むしろどうして俺を選んだのかがまったくわからなかったんだ。そんな男と付き合っても、松岡さんが苦しむだけだろ?」←工藤

 

 「私は別にそれでも構わないのに~」←松岡

 「それに、彼女は俺の他にも年下の男子を追いかけまわしたりして遊んでたから、俺に振られたところでへこむはずもないと考えていた」←工藤

 「ちょっとそれはひどいわ。私貴方に振られてからすごくショックで結構荒れたのよ!」

 「そうだったんですか?いつもと変わりなかったので安心していたんですが・・・」


 ある意味、この人も鈍感です。


 

 「当時、ということは今は興味があるということですか?」←駿

 「興味というよりは・・好きな人が出来た。と言った方が、わかりやすいかな」←工藤

 「それって・・・力輝ってお姉さんのこと?」←秀

 先ほどまで弟にだ気づいていた兄が工藤さんを睨んだ目で見る。


 「僕達の名前の漢字を決めるの、手伝ってもらったんだよ。駿なんて力輝お姉さんに決めてもらったんだから!」

 

 それを聞いた工藤さんに松岡さんは

 「ついさっき訓練室を案内した時に会ったの。雪村君と一緒にね」と説明する。

 「そうだったんですか。力輝達に会ったのか・・」←工藤


 「二人共、もういいでしょ?工藤君、まだ仕事があるらしいから行きましょう」←松岡

 松岡さんが時計で時間を計っていたようで二人にそう告げる。


 「待ってよ!まだ好きな人が力輝お姉さんかどうか聞けてないのに」←秀

 「秀君」←松岡


 「っ!?・・ごめんなさい」←秀

 秀は松岡さんの怖い顔を見て、しょんぼりした。

 すると工藤さんは「俺は、力輝が好きだよ」と秀と駿にはっきりと伝えた。


 「俺はあいつを異性として見ていることに気づいて、すぐに自分の気持ちを彼女に伝えた。けど、あいつにも好きな人がいてそいつに返事をもらえずに苦しんでいる。だけど俺はあきらめてない。まだチャンスがあるなら俺はあいつに振り向いてもらえるまで努力するつもりだ。だから、お前達もあきらめずに好きな女性にアタックし続けろ。戦場で大人数の敵を前にもう無理だとあきらめるよりも一人でも多くしとめられればその分勝てる可能性があると思え」←工藤


 「・・・どういうこと?」←秀

 「ようするに、まだ返事をもらえてないということはまだ彼女はフリー。まだ恋人になってないの。だからそれまでに自分のことを好きになってもらおうとアプローチを掛けて彼女を自分の方へと振り向かせようってわけ」←松岡

 「なるほど」←秀

 「納得しました」←駿


 「それなら私もまだ貴方をあきらめないわよ?どんな手段を使ってもね」

 「言ったでしょ?俺は彼女一筋だと。・・あっ、そろそろ行かないと。失礼します」←工藤

 「またね、工藤君」←松岡


 「松岡さん、僕もあきらめないことにしたよ!」←秀

 「あらあら。駿君は?」←松岡

 「僕は秀のサポートをするので」←駿

 

 

 「(振り向いてもらえるまで・・・か。自分で言っておいてなんだが、あいつが俺に振り向いてくれるかどうか自信はない。それに・・・俺はあいつに勝てるのだろうか)」


 工藤さんはカッコいいセリフを言いつつも、内心は自信がなかったのでありました。


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