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魔法師Mの物語  作者:
第五章 それぞれの恋心と最終回
205/222

桜子の思い

語り手:氷浦桜子


 私は力輝さんともう少しお話がしたいと真さんに伝えた。

 真さんは訓練に行くとのことですぐに部屋を出ていき、部屋には私と力輝さんの二人だけになった。


 「・・・話って、なに?」←力輝

 「ちょっとしたお話です。ご気分が悪くなったら言ってください」←桜子


 少し嫌そうな顔をされてしまった。

 それも仕方ないのかもしれない。彼女にとって私は・・・・


 「お伝えするのが遅くなりましたが、火浦の魔法解除で私は前みたいに魔法が使えるようになりました」←桜子

 「知ってますよ」←力輝

 「はい。ですが、私の口からお伝えしていなかったことに気付いたので念のために」

 「(なんだろう、すごくむかつく・・・)」←力輝

 

 「それで私と真さんの婚約は解消され、プロポーズをしたものの見事に断られました」

 「知ってます・・・なにがいいたいの?」←力輝


 気分が悪いせいか、敬語を使わなくなってしまっている。

 もしかしたら、もう先輩だと思われていないのかも?でも、それなら真さんと同じ扱いなんじゃないのかとも思ってしまう。彼のことは「雪村先輩」ではなく「雪村」と呼んでいるし。でも敬語はちゃんと使っているから・・・どうなんでしょ?でもそれはひとまず置いといて・・・。


 「私は真さんを氷浦家の人間になってもらいたいと考えています。これは先程話したこととは違います。つまり・・・・養子です」←桜子

 「・・・・」←力輝

 「真さんの魔法力は私と互角です。それに火浦との戦闘の際にも助けていただきました。彼には雪村にいるよりも氷浦にいた方が、良いのではないかと考えたのです」←桜子


 「確かに、そうかもしれない。でも・・・あいつが受けるとは思わない」

 「そうですね。私も同感です。それにこの件は一度断られていますから」

 

それは私が魔法力を失い、氷浦の跡を継げなくなってしまったためにとった手段。

 遠縁の中で私と互角で優秀な魔法師は、真さんただ1人だったのだ。

 

 「それ…雪村に話したの?」←力輝

 「いいえ。まだですよ?時が来れば、もう一度お話をさせていただくつもりです」

 「・・・そう」←力輝

 

 今はあなたのことで頭がいっぱいなので、しばらくは言わない方がいいと考えました。

 というと、真さんに怒られそうですから・・・・。


 「力輝さん。あまり考えすぎるとお身体が持ちませんよ?」←桜子

 「そうしたいけど・・・」←力輝

 「では楽しいことを考えましょう。私も小さい頃よくお父様に叱られた時は、楽しいことを考えて気分を変えようとしていました」←桜子

 「楽しいこと?」←力輝

 「はい。力輝さん、何かご趣味ありますか?そういえば、DVDを借りてらっしゃるとか言ってましたよね?よく見るんですか?」←桜子

 「・・・よく見ます」←力輝

 「でしたら、DVDを見たりして少しでも気分を変えてみたらどうでしょうか?この間のように皆さんで外に出かけるのもいい気分転換になりますよ?」←桜子

 「気分転換・・・」←力輝

 「そうですね。私達の中では南條さんが適任でしょうか?同じクラスですし、お二人はとても仲良しですから。全部は無理でも、楽しい話とか悩み事とかを話せばきっとお力を貸してくれると思います」←桜子


 

 力輝さんはそれを聞くと、少し考え事をしてから「分かりました」と頷いた。


 「良かったです。先程よりも少し顔色が良くなって」

 「・・・・」

 「では、私はこれで。明日良くなるといいですね?また明日」

 「先輩。・・・・ありがとうございました」

 「いえいえ。それではお大事に」


 良かった。少しは彼女のお力になれて・・・。

 真さんにはあの事だけ伝えずに、ご報告しないと。

 そうでないと、またお怒りを爆発して氷漬けにされてしまうかも(笑)


 ですが、私の方が勝ちますけどwww

 

 研究所から出ると、すぐに声を掛けられる。

 「少しだけって言わなかったけ?」←雪村

 「真さん、もしかして待っていてくれたんですか?」←桜子

 「家に明かりがついてなかったからね。引き返してきたの」←雪村

 「でも、私が誘拐された可能性もあるじゃないですか?」←桜子

 「何言ってるの?あんたが誘拐されるようだったら僕なんてそこらへんの一般人と変わらないじゃない。魔法力戻ってるんだから、そんなこと有り得ないでしょ?」


 「そうですね?すみません」←桜子

 

 冷たいひねくれたような話し方でも、この人はちゃんと私のことを見ている。

 彼女のことも、しっかりと。

 

 「いったいどんな話をしたかは知らないけど、余計なこと吹き込まないでよ?

 ただでさえ、バカなんだからさ」←雪村

 「大丈夫ですよ?深く考え込まないように、誰かに相談するとか楽しいことを考えるようにとアドバイスしただけですから」←桜子

 「・・・本当にそれだけならいいけどね」←雪村

 

 「真さん、私を信用してないんですか?」←桜子

 「信用してないわけじゃないけど、その顔を見るとなんか怪しいって思っちゃうんだよ」

 「まぁ!?ひどいですよ」←桜子

 「あぁ~おなかすいた。今日はあんたが作ってよ?僕疲れたから」←雪村

 

 「そんな!?今日は真さんの当番じゃないですか?!」←桜子

 「僕を待たせといてよく言えるね?それとも桜子の嫌いなあれでも作ってあげようか?とびっきり辛いの作ってあげるよ?」←雪村

 「真さん、それはあんまりです!!」←桜子


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